日建リース工業、水産業に参入 活魚輸送用ボックスのレンタルを開始

 軽仮設リース最大手の日建リース工業(本社・東京都千代田区、社長・関山正勝氏)は、10月から活魚輸送用の「日建魚活ボックス」のレンタルを開始し、水産業界に参入する。二酸化炭素低活性化技術で魚を生きたまま麻酔状態にし、超過密な収容密度で24時間の長距離活魚輸送対応を実現。輸送後はそのまま通常の水槽に移しかえるだけで、魚は麻酔から覚醒する。従来の活魚輸送に比べて輸送コストを大幅に抑えることが可能で、地方漁港からの流通分野などで採用を狙っていく。

10月からレンタルを開始する日建魚活ボックス

 ボックス本体の水槽容量は1200リットル。大がかりなろ過や監視機能を外し、必要な電源も車両のバッテリーから取れる。魚種やサイズに分けて車両1台に混載して輸送が可能。ボックス1つであれば2トン車で輸送でき、鉄道用12フィートコンテナにも対応している。また2段までスタッキングできるので、返却時の輸送コスト削減にも寄与する。

 魚は二酸化炭素麻酔状態で輸送するため、輸送時のストレスやアンモニア生成を軽減。実験ベースでは、収容密度最大32%で24時間輸送を実現した。

二酸化炭素低活性化技術で麻酔状態の魚

 日建リース工業はこれまで、物流機器事業で加工・業務用野菜流通用のメッシュボックスパレットのレンタル業務を手がけてきた。「農産分野以外の第一次産業でもレンタルビジネスモデルを構築することで物流の効率化に寄与できる」とのコンセプトが活魚ボックス開発の発端だった。開発にあたっては、約2千匹の魚を使用するなどして細かなデータ収集を行った。

 当面は、受託運送という形でレンタル業務を開始する。今後、物流機器事業内で専門の営業チームを立ち上げて顧客からの発注、リペアニーズなどに対応していく。

 今回の魚活ボックスのレンタル事業をもとに、各種イベントや料理店などの企画・運営、東京や大阪の大都市圏での活魚ターミナル構想など新たなサプライチェーンの構築も検討していく方針だ。

 「魚活ボックス」は、今月23~25日に東京・有明の東京ビッグサイトで開催された第19回ジャパンインターナショナルシーフードショーに出展。多くの来場者の関心を誘った。

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