なぜか人に好かれない…「好かれる人」にある共通点

「人に好かれたい!」と考える人の落とし穴は、特別な時にだけ素敵な対応をしようとする考え方にあります。

「人に好かれたい!」と考える人の落とし穴

コミュニケーションの仕事をしていると、デートのときや取引先との会食のときだけ……というように、“特別なときだけ”素敵になろうする人がいます。恋愛マニュアルで彼の心をゲットしようとする人などもそうかもしれません。

例えば、

「彼とデートをするんです。デートのときは、どんなことを心がけたらいいですか?」

「彼の両親に会いに行くのですが、どういう点を心がけたらいいですか?」

また、仕事であれば、

「面接がうまくいくためには、どうしたらいいですか?」

「取引先に行くときに、どういう風に振る舞うと印象が良くなりますか? どんなことに気をつければいいですか?」

「お客様を喜ばせるためにはどうしたらいいですか?」という質問を受けます。

……わかる! それを聞きたい気持ち、すごくわかります! ですが皆さん、それ、落とし穴にはまっていますよ。

特別なときだけいいことを言おうとか、特別なときだけ相手に伝えられる自分になろうとしても無理なのが本当のコミュニケーションだからです。

なぜなら、人間って見ていないように見えて、意外と日常の姿を見ているもので、それは無意識に滲み出ているものだからです。

好かれる人と嫌われる人の違いは、“特別なときだけ”という考え方かも?

例えば、伝え方やコミュニケーションについて勉強した人が、会社の朝礼で心を動かす感動的で完璧な内容のスピーチをしたとします。でも、日常でずっと誰かの悪口を言っていたり、挨拶もせずにツンとした態度をとっていたりしたらどうでしょうか? 誰もそんな人の言葉をそのまま受け取ろうとは思いません。

じゃあ「裏の顔」を見せなければいい、と思うでしょうか? それも違います。

例えば、接客業などではバックヤードでも丁寧な言葉遣いをさせたり、お客様を「お客様」と呼ぶように指導したりします。お客様の前でだけ「いらっしゃいませ♪」と声色を1トーン上げて、天使のような笑顔をすれば礼儀よく、失礼のないように対応できるかもしれません。

でも、バックヤードでスタッフを雑に扱っていたり、お客さんのことを「あの客、ムカつく!」などと悪態をついている人は、本当に大切な顧客やリピーターをつかむことは難しいでしょう。日常をどう生きているかというのは、一瞬はごまかせても、きちんと向き合った相手にはふとした時にバレてしまうからです。目つき一つ、体の動作一つ、後ろ姿一つでも感じ取れてしまうのが人間です。

ですから、「この人にはこれ言っておけばいいだろう」「このマニュアルで対応しておけばいい」という考えでは、いくら商品の説明がうまくいっても、絶対にあなたから買いたいと思ってくれるような顧客やリピーターはついてくれないのです。

なぜか好かれる人の共通点は、無意識に素敵な習慣や対応をするところ

恋愛も同じです。本当に愛されている人は、彼の前だけ、“特別なときだけ”ニコニコして最高の彼女を演じる人ではありません。

私の知人に、すごく旦那様に愛されている素敵な女性がいます。とても素敵なご夫婦なので、その秘訣を聞いてみると、「えっ、私、“特別なこと”はしてないです。会話が得意な方でもないから……」という回答が返ってきました。

そう、それがいいのです。彼女は、いつもニコニコしていて、一緒にいるとなぜかほっとできる人。好きな人の前だからいい顔をする、好きな人の前だから頑張るのではなく、みんなに対して素敵な対応をしているからこそ、愛されているのだなと思います。

そんな人に好かれる彼女のことを、私は、「日常美人」と呼んでいます。

人に好かれたいなら、心をプラス5にする「日常美人」になろう

日常美人とはなんでしょうか。美しく生きる人のことを美人と言っているので、女性だけではなく、男性にも共通することです。でも、私は「もともと日常美人」ではないから、無自覚・無意識に素敵な行動はできないと思うかもしれません。そこでこんな方法を提案します。

いつも「プラス5の自分」で生活をしましょう。ふだんキチンと暮らしていれば特別なときも、ちょっと背筋を伸ばすだけ。だから無理がなくて、自然な美人になれるのです。

でも、「そっか! 日常美人にならなきゃ」と無理をして、「日常をプラス10」で過ごそうするのは禁物です。

誰だっていきなり10センチのピンヒールで暮らすのは大変です。そんなつま先立ちの毎日では、誰だって疲れてしまい、転んでしまうかもしれません。歩きやすくてスラリと見える「5センチヒール」から慣れていけば、日常でも履きこなせます。もちろん3センチでもOKです。

自分にとって無理のないレベルから少しずつ、自分が続けられるレベルを見つけていきましょう。

一方、「人に好かれよう」と意識している人は、お客様の前や特別なときだけプラス10の自分になろうと無理をします。それなのに、普段の自分には無頓着。その反動で、かえって、日常はマイナスやゼロでいいやと投げやりに過ごしてしまい、なんだか付き合いにくい人だな……感じが悪い人だな……と思われてしまうのです。

「彼の前だから、家族の前だから、お客様だから特別変わろう!」と思うのはやめて、日常を常にプラス5にすることから始めてみましょう。

(文:吉井 奈々)

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