年々増加傾向!出産育児一時金42万円の内訳は?

2015年1月より、実質的な出産育児一時金の額が39万円から40万4000円へと微増しました。

産科医療補償制度の掛金の減額で、出産育児一時金が実質微増

2015年1月より、出産育児一時金がちょっとだけ変わりました。42万円という金額は変わりませんが、子どもが重い脳性まひになった場合の補償として加入する「産科医療補制度」の掛金が3万円から1万6000円へと下がり、実質的には40万4000円となりました。

出産育児一時金は40万4000円

出産育児一時金は、公的医療保険が適用されず10割負担となる出産費用をまかなうために、公的医療保険から支払われるものです。

出産育児一時金はかつては35万円でしたが、2009年1月に産科医療補償制度の掛金分3万円が上乗せされて38万円となり、さらに2009年10月に4万円アップして42万円と充実してきました。

2015年1月には、この掛け金が1万6000円に引き下げられましたが、受け取れる42万円の額は変わらず、実質的な出産育児一時金が40万4000円に増額された形です。

産科医療補償制度とは?

産科医療補償制度は、保険契約者を運営組織、被保険者および保険金受取人を産院等として契約し、出産時の事故で重い脳性まひになったケースに対し補償金を支払う制度です。脳性まひは、出産の前後に赤ちゃんの脳に酸素が不足するなどして運動機能がまひする後遺症です。

●補償対象

(1)出生体重1400g以上(2014年12月31日までに誕生した子は2000g以上)かつ在胎週数32週以上(同33週以上)、または在胎週数28週以上で所定の要件

(2)先天性や新生児期等の要因によらない脳性まひ

(3)身体障害者手帳1・2級相当の脳性まひ

●掛け金

1万6000円(原則、出産費用に上乗せして病院から請求)

●補償額

看護や介護のために、一時金600万円と分割金2400万円(年120万円×20回)、総額3000万円が補償金として支払われます

●申請期間

満1歳の誕生日から満5歳の誕生日まで

●運営組織

公益財団法人日本医療機能評価機構

産科医療補償制度の補償の流れ

妊産婦は出産を予定している施設が制度に加入しているかどうか、また補償内容を確認します。

産院等は出産を予定している妊産婦の情報を運営組織に登録。

産院等は運営組織を通じて損害保険会社に掛け金を支払います。

生まれた子が脳性まひだった場合、規定に基づき補償金を支払います。補償金には、産科医療補償制度に基づいて支払われる保険金が充てられます。

産科医療補償制度の補償金の支払方法

産科医療補償制度の補償金支払の流れは次の通りです。

脳性まひとなった子またはその保護者は補償金を請求。

運営組織は産院等から保険金請求の業務委託を受け、損害保険会社に対して保険金の支払を請求。

産院等は、脳性まひとなった子名義の金融機関の口座を保険金の支払先に指定します。

損害保険会社が、指定された口座に本件保険金を振り込むことにより、補償金が支払われます。

補償金と賠償金との調整

産院等が妊産婦や子に対して損害賠償責任を負う場合は、保険金は支払われないとされています。しかし、損害賠償責任を負うかどうかが判明するまでに時間を要することから、通常は補償金が支払われます。

産院等が損害賠償責任を負う場合には、すでに支払われた補償金は産院等が妊産婦または子に対し支払う損害賠償金に充てられます。この場合、産院等は、既に支払われた補償金を損害保険会社に返還します。

産科医療補償制度に加入していなかったら?

出産した産院等が「産科医療補償制度」に加入していなかった場合、保険には加入することができず、脳性まひとなったときの補償は受けられません。

その場合、出産育児一時金に1万6000円の上乗せはなく、受け取れるのは40万4000円のみとなります。

(文:豊田 眞弓)

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