古河テクノマテリアル・東北大・京大と共同で、形状記憶合金の新製造プロセス開発

 古河電工グループの形状記憶合金製品メーカーである古河テクノマテリアル(本社・神奈川県平塚市、社長・戸崎敏夫氏)は東北大学や京都大学と共同で、銅系形状記憶合金の新製造プロセスを開発したと発表した。変形からの回復力や金属疲労への耐久性などに優れる単結晶の合金部材が低コストで製造できることが特徴。耐震部材としての新用途開拓に貢献する。今後5年間をめどに実用化に向けた取り組みを進める。

 今回の開発では冷却と加熱を繰り返す単純な熱処理で金属の結晶粒が急成長するメカニズムを解明。変形回復力や金属疲労への耐久力が最大数十倍に高まる単結晶形状記憶合金の量産プロセスに応用したもの。従来の単結晶部材と比較してコストが数十~数百分の一まで抑えられる。建築物に使うX形の補強材(ブレース)を鉄などから代替する用途などを想定。現在までに長さ70センチの棒材の製造に成功している。

 研究プロジェクトは日本学術振興会や科学技術振興機構の支援を受けて進めてきたもの。東北大学大学院の大森俊洋准教授や貝沼亮介教授らの研究グループが組成や結晶制御など合金設計を担当。古河テクノマテリアルは棒への加工や一部評価試験を、京都大学大学院の荒木慶一准教授らのグループは耐震部材への応用に関する検討などを担った。低コストで高性能な単結晶部材を量産できる可能性が見い出せたことで、耐震分野での実用化に道筋がついた。

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