金の年間平均価格、中期的に上昇=19年に1425ドル〈英調査会社予測〉 鉱山供給量減少へ

 英国の貴金属市場調査・コンサルタント会社であるトムソン・ロイター・GFMが29日、都内で貴金属市場の動向と今後の見通しについてセミナーを開いた。金・銀市場について解説したキャメロン・アレクサンダー氏(アジア・メタル需要担当ダイレクター)は金需給について「16年に過去最高を記録した鉱山からの供給量については増加トレンドが終わりを迎えつつある。インドと中国の需要も回復に向かうだろう」と述べ、金の年間平均価格は17年が1オンス=1249ドル、18年が同1330ドル、19年が1425ドルと中期的に上昇していくとの見通しを示した。

 同セミナーは、同社が毎年発行する「ゴールド・サーベイ」など貴金属調査報告書の日本語ダイジェスト版を発行する田中貴金属工業が開催したもの。

 キャメロン氏は金の17年の現物需給バランスを733トンの供給過剰と予測し、16年の952トンの供給過剰から過剰幅が縮小するとの見通しを示した。

 供給面では鉱山生産量減少に加え、スクラップ供給量も前年を下回ると見込み、総供給量は前年比2・2%減の4418トンと予測。現物需要は昨年に低調だった中国やインドが堅調に推移すると見込み、同比3・8%増の3685トンと予測した。

 一方、銀については「昨年は需要が弱かったが、銀価格に割安感が出始めており、テクニカル的には強気市場の兆しがみられる」とし、年間平均価格を17年が1オンス=17・64ドル、18年が同19・80ドル、19年が同21・80ドルと予測した。

 プラチナ、パラジウムなどについて解説したローナ・オコーネル氏(サプライチェーン・顧客調査&予測担当ヘッド)は「プラチナ需給は引き続き南アフリカの鉱山生産量が低調に推移する一方、自動車触媒向けの需要が堅調に推移する」との見通しを示し、17年の需給バランスを11トンの供給不足と予測(前年は6トンの供給不足)。年間平均価格を17年が1オンス=970ドル、18年が同1010ドル、19年が同1150ドルと予測した。

 パラジウムは鉱山供給量の減少と自動車触媒向け需要の増加などから17年の需給バランスが43・2トンの供給不足と前年の37・3トンの供給不足から不足幅が拡大するとの見通しを示し、年間平均価格を17年が1オンス=855ドル、18年が980ドル、19年が1050ドルと予測した。

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