家族・パートナーの「うつ」チェック方法と接し方

自分の大切な人がうつ病になった場合、どうしたらいいのでしょうか?

パートナーに話しかけても返事をしない。たまに何か言うとしたら小言ばかり。おまけに夜の生活を拒否するようになった……。

男女の関係のすれ違いはよく聞くことですが、まるで人が変わったように、相手の態度や性格が豹変してしまった、すっかり塞ぎこんでいる、という場合は、うつ病を疑う必要があるかもしれません。

うつになると気分の落ち込みが強く、急に人が変わってしまったように性格が変わることも少なくありません。しかもうつ病はありふれた病気。なんと4~6人に1人が一生の間に一度はかかるとも言われています。

自分の大切な方がうつ病を早期発見し、正しく対処できるように、うつ病について知っておくべきことをご紹介します。

うつ病の前兆……身近な人が気づけるサイン

うつ病のサインには以下のようなものがあります。

・すぐに疲れを口にする

・常に疲れているように見える

・これまで好きだったものにも興味を示さない

・眠れない

・眠りすぎなどを訴える

・口数が少なくなる

・セックスに興味がなくなる

・食欲がなくなる

・飲酒、タバコ、コーヒーの量が多くなる

・一日のうち、朝方の調子が特に悪そうに見える

うつ病は脳内の神経伝達物質であるセロトニン系の不調が原因です。自力で治る病気ではなく、抗うつ薬による治療が必要ですが、治療をすれば比較的簡単によくなります。しかし精神科(神経科)を受診しないで、放っておくとうつの症状は重くなってしまい、回復までに手間と時間がかかります。

次に、うつを見逃さない為にはどのような事に気を付けたら良いかを述べます。

うつを見逃さないためには?

何かきっかけはなかったですか? うつ病になる前には、きっかけがあることが少なくありません。例えば、会社での異動、転勤、また、引越しなど環境が変化した時、また、肉親が亡くなられるといったような辛い出来事を経験した時はうつ病のリスクが高まります。

落ち込み具合は日常で見られるレベルでしょうか? インターネットなどで、うつ病のセルフチェックをされると良いと思います。

いよいよ精神科を受診する際には、その人に一緒に付き添って行きましょう。医師がうつ病と診断を下すには、いろいろな情報が必要です。本人のみならず、ご家族の方から見た本人の様子の変化は貴重な情報となります。またうつになると、口数も少ないので、医師とうまくコミュニケーションが取れない場合もあります。

うつの方への接し方で気を付けたいこと

うつの本人をサポートする際には、以下のことを念頭に置くと良いと思います。

あせらないでゆっくり見守る

うつの症状がなかなか改善しないと、ご家族の方も「どうして、良くならないのかな」とあせってしまうかもしれません。うつ病は治療で良くなる病気なのですが、残念な事にすぐ治る病気ではありません。抗うつ薬の効果が現れるまで、2週間程度かかります。しかし、抗うつ薬に即効性がない事は、抗うつ薬に対する依存が生じないという利点でもあります。とにかく、ゆっくり見守ってあげましょう。

相手の態度、言動を深刻に受け止めない

せっかく気分を晴らしてあげようと思って、散歩に誘っても相手はつれない態度。「せっかく心配してあげているのに、私の気持ちをわかっていないのかな……」という事もあるでしょう。しかし、あまり真に受けないでおきましょう。うつになると、今まで楽しめていた事を楽しめなくなり、何をするにも億劫なのです。うつ病がこのような態度を取らせていると考えてみましょう。

食生活は大切

家族の一員がうつの時は、うつの本人のみならず、家族全員にとっても辛い時です。栄養のバランスの取れた食事、運動は心身の健康を高め、ストレスへの耐性を高めます。食事・運動といった生活面にも是非、注意を払いましょう。

自分を犠牲にしない!

もしも自分の大切な人がうつ病になったら、できる事なら何でもして早く良くなってもらいたいものです。しかし、その事が頭の中から離れなくなり、自分の楽しみを犠牲にしてまで相手に献身していたら、自分も燃え尽きてしまいます。ショッピング、友達とのランチなど自分の大切にしている時間は、最低限確保しましょう。

相手を思いやる気持ちはもちろん大事。でも、それが高じて強迫的にならないよう、ご注意下さい。

うつ病は心の風邪と言われるほど、比較的簡単にかかってしまう病気で、人生で避けて通れない時があるかもしれません。いざ、うつに遭遇しても、あわてないようにうつ病の知識には日頃から馴染んでおきましょう。

(文:中嶋 泰憲)

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