日鉄住金精密加工、油井管継手を環境対応で差別化推進 中津製造所、生産性向上

 油井管ねじ継手(カップリング)を生産する日鉄住金精密加工(本社・大阪府柏原市、社長・中村正法氏)は、製品の差別化を図るため、本社製造所で環境に優しく油田掘削現場での作業能率向上に資する特殊継手「CLEANWELL・DRY」を生産。また中津製造所(大分県中津市)では、油井管アクセサリーのパップジョイントの生産体制を整えているほか、自動化による生産の効率化を進めている。

 同社は昨年7月に、新日鉄住金の子会社でカップリングを生産する日鉄住金ファインテックと日本チューブラープロダクツが統合し設立。シナジーを発揮するため本社と中津の両製造所の生産体制を見直している。

 油井管を継手で接続する際、鉛など重金属を含んだグリスをねじの接触面に塗布するが、「CLEANWELL・DRY」ではねじ部分に潤滑成分を含んだ表面コーティングをすることでグリスなしで接続できる。グリス漏れによる環境汚染を防げるほか、油田掘削現場における作業能率の向上にもつながる。環境規制の厳しいノルウェーエリア向けに出荷実績を重ねており、今後も世界的に需要は伸びると考えている。

 中津製造所では、外径500ミリまでの大径カップリングを主に生産しているが、API(アメリカ石油協会)規格の一般品が多く他社との競合から厳しい収益状況が続いている。そこで脱API化の推進、つまり特殊継手の拡販を新日鐵住金の鋼管事業部と共に目指している。また、油井管の長さ調整用の短管・パップジョイントの生産体制も整えている。ライセンスを取得し、設備の準備も終え、一部のユーザーには供給を開始している。さらに生産の効率化でコスト削減も進めている。表面処理ラインを完全自動化し、作業員を自動化前の3分の1に省力化。今後はねじ切りラインが一直線となるように、設備の配置を変えていく。

 中村社長は「本社、中津ともポテンシャルがあるだけに、両製造所の人や技術の交流を通じ、シナジーをさらに拡大していきたい」としている。

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