【新社長】〈日鉄住金精密加工・中村正法氏〉「特殊継手」など高級品化推進 「カップリング」以外の精密加工品にも注力

 6月30日、社長に就任。同社は新日鉄住金の子会社で、油井管ねじ継手のカップリングを生産する日鉄住金ファインテックと日本チューブラープロダクツが昨年7月に統合し設立。カップリングが売り上げの7割を占める。「カップリングは原油価格などの影響を受け需要の波が大きいが、安定的な収益基盤を確立していきたい。特殊継手などの高級品化を進めるとともに、生産の効率化でコスト削減を図っていく。カップリング以外の精密加工品も伸ばしたい」と抱負を語る。

日鉄住金精密加工・中村社長

 本社製造所(大阪府柏原市)は、外径400ミリまでの中小径カップリングを生産し、和歌山製鉄所に出荷。特殊継手は一定量の需要があり、新日鉄住金がクウェート向けの油井管約23万トンを受注したため、比較的安定した生産が見込める。今後はグリース不要で環境に優しい特殊継手「CLEANWELL・DRY」の生産体制を整えていく。

 中津製造所(大分県中津市)は、主に外径500ミリまでの大径カップリングを大分製鉄所光地区に出荷している。ただAPI(アメリカ石油協会)規格の一般品が多く、他社との競合で採算状況が厳しい。そこで生産効率化によるコスト削減を図るため、表面処理ラインを完全自動化。今後はねじ切りラインの設備を配置替えし、工程を整流化していく。また油井管の付属品(パップジョイント)の生産も開始する。

 精密加工品では、冷間用ロールダイスやマンドレル、ねじ用ゲージ、短納期対応が可能なクレーン用車輪などマーケットシェアの高い分野は、その優位性を生かしていく。また「ニッチな分野でもいいので、当社にしかできない分野を開拓していきたい」とする。

 社員には「新社名にふさわしいきらりと光る技術を持ったフットワークのいい会社を目指してほしい」と発破をかける。好きな言葉は『技術には終わりが無い。人は無限の価値を生む』。「技術とは、生産面だけでなく販売や事務など全てにわたる」とする。人生では〝一期一会〟を大切にしている。スポーツが好きで、現在は硬式テニスとスキーを楽しむ。(橋川 渉)

略歴

 中村 正法氏(なかむら・まさのり)82年(昭57)九州工業大学大学院機械工学修了、新日本製鉄(現新日鉄住金)入社、87年英国留学、99年東京製造所鋼管工場長、02年ステンレス事業部光製鉄所鋼管部長、05年鋼管事業部東京製造所長、11年日本チューブラープロダクツ社長、16年日鉄住金精密加工常務。56年5月生まれ。福岡県出身。

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