《音楽日々帖》2017年夏のプレイリスト的アルバム

 最近、アルバム1枚を通して「プレイリスト化」している作品が目につきます。捨て曲なしの名曲ぞろい、流しっぱなしにしていて気持ちいい、どこから聴いても「いい感じ」という非常に合理的な構成は、ストリーミングが定着した2017年にフィットするのかもしれません。パーティーにビーチに旅先に、もちろん毎日の気分を上げるためにも重宝するプレイリスト的アルバムをご紹介します。

 まずは、カルヴィン・ハリス。時代が求める音楽をつくることにおいて、やっぱり彼は天才です。かつてEDMブームを牽引していた張本人が、ブラック・ミュージックを核とした「今」のPOPへと大胆に舵を切りました。その潔さもさることながら、どの時代においても最旬ゲストを揃えられる求心力にも感嘆。EDM時代を静観していた私もハマった、最高のサマーアルバムです。

 FKJ(フレンチ・キウイ・ジュース)のチルアウトなファーストアルバムは、冷静と情熱のさじ加減が絶妙。トラックメイカー的視点から心地よさ最優先で仕上げながらも、自ら演奏した生楽器やR&B、ソウルの要素に耳を掴まれます。ちなみにカクテルドリンクみたいな名前は、彼の両親がフランス人とニュージーランド人であることが由来だそうですが、その名に違わぬオシャレで洗練された1枚です。

 ロード・エコーはダブ・バンドのギタリストが始めたプロジェクトだけあって、レゲエをベースにしたあたたかみのあるディスコ・グルーヴが特徴です。アナログ人気の昨今、レトロさもむしろ今っぽい。夏の夕暮れ、ぜひモヒートとご一緒に!

CALVIN HARRIS『Funk Wav Bounces Vol.1』

3年ぶりのアルバム。フランク・オーシャンやファレル・ウィリアムス、アリアナ・グランデ、気鋭のR&B、HIPHOP勢を総動員。8月19日(土)にサマーソニックでヘッドライナー

sony music japan international 2017

FKJ『French Kiwi Juice』

フランス出身。ヒップホップとR&Bの素養を持ち、フレンチ・エレクトロの系譜をなぞるようなグルーヴが特徴的なマルチプレイヤー。9月6日(水)に代官山UNITで来日公演

Rambling RECORDS 2017

LORD ECHO『HARMONIES』

ニュージーランドのマイク・ファブラウスによるプロジェクトの3rdフルアルバム。レゲエ、ディスコ、アフロファンクがミックスされたヴィンテージ・サウンドを聴かせる

WONDERFUL NOISE PRODUCTIONS 2017

selection&text:稲葉智美(いなば・ともみ)

ラジオDJとして活動するほか、BGM選曲やナレーションを手がける。J-WAVE『ZAPPA』(毎週土曜5時)では選曲/トーク/オペレーションを全て担当しています

Twitter: @tommyjan15

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