保険会社が破綻したら学資保険はどうなってしまうのか?

学資保険に加入後、もしその保険会社が倒産した時はどうなってしまうのでしょう?

保険会社がつぶれたら?

もしも保険会社が破綻した場合、加入していた学資保険はどうなるのでしょう?実は、契約は別の保険会社などに引き継がれ、「生命保険契約者保護機構」によって一定の保護があります。といっても100%保護されるわけではありません。すべての保険契約が補償対象になりますが、補償されるのは責任準備金(将来の保険金などの支払を確実に行うために積立てられる金額)の90%までです。

破綻した会社の債務超過の度合いによって、責任準備金が最終的に何%になるかは不明なのですが、いずれにしても最低でも90%は保護されるのです。最悪のラインが90%というわけで、つまりは最悪で責任準備金が10%カットされることもあるのです。また、過去の事例を見ると、破綻後は「予定利率」(保険会社が加入時に約束した運用利率)が引下げられる可能性が高く、そうなるとダブルで影響が現れることになります。

破綻の影響は貯蓄型ほど大きい!

責任準備金が10%カットされると、満期保険金が10%カットされるかというとそうではありません。実際にどれくらいのカットになるのかは、契約の時期やその保険の「予定利率」が何%だったかとか、満期までの期間などによって、同じ商品でも1本1本異なります。

しかも、保険会社が破綻した場合、最も影響がでやすいのは責任準備金が大きいタイプ、つまり貯蓄型の保険です。ということは、「こども保険」「学資保険」もダメージを受けます。上記のように、満期金がいくら減るのかは破綻後でないとわかりません。

格付けも参考にして保険会社選びを

加入者にできることは、加入前や、あるいは加入してからもそうですが、格付けデータ等を参考にして、安心できる保険会社と付き合うことです。S&Pやムーディーズ、R&Iなど第三者機関が出している保険会社の保険財務力などの格付けを参考にしたり、できたら加入前にその保険会社の決算の中身(解約が殺到していないか、新規契約は増えているかなど)もチェックして保険会社や商品選びをするといいでしょう。

S&Pの場合、保険の格付けは、

AAA ⇒ AA ⇒ A ⇒ BBB ⇒ BB ⇒ B ⇒ CCC ⇒ CC ⇒ C 

という順に低くなっていきます。ちなみに一般的には、財務格付けがA以上の保険会社の方が安心とされています。ただし、たとえ格付けが最も高い「AAA」であっても、10年後に会社が破綻しないとは限りません。加入後も保険会社の動向は確認し続けることは必要です。

ガイド豊田のつぶやき

子どもの教育資金の準備用に、学資保険を利用する人は少なくないようです。でも、前述のような破綻リスクがあることや、あるいは進路が多様化していることで、資金が必要になる時期が変わるかも知れないことを考えると、教育資金として準備する分の全額を学資保険で運用するのは避けた方がいいでしょう。

例えば600万円の教育資金を準備するつもりなら、そのうち学資保険で準備するのは、最大でも半分の300万円までに抑えましょう。その他、財形貯蓄やネット定期、宝くじ付き定期、個人向け国債、つみたてNISA、外貨建て保険などで運用をすることで、リスクの片寄りを避けることができます。

(文:豊田 眞弓)

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