もう、なんなんだろう？ おしゃれなタイトルに、すてきなジャケット写真。映像のディレクションは中野裕之の手になるもので、ボーナス映像にはしれっと細野晴臣だって登場してしまう。おや？ しかも振り付けは首藤康之じゃないか！ そんな名だたる面々の中心に立つアーティストの名は、原田知世。彼女のセンスあふれる完全無欠な布陣を前に、白旗を振る以外リアクションが思いつかない。
2010年にリリースされた作品のリイシューとなる本作。アルバム「eyja」を引っさげて行われたライブツアーのなかから最終公演となる「めぐろパーシモンホール」での模様を完全収録したDISC1と、数々のボーナス映像を収録したDISC2の2枚組だ。7年前の作だというのに古さを感じさせないのはさすが、流行の何周も先を行く彼女ならではだろう。
DISC1のライブ映像はもちろん納得の内容だが、じつはDISC2こそ真髄ではないか？ そんな風に思えてしまうのは、最後まで楽しませようとする本作のできのよさ、サービス精神の表れかもしれない。アイスランドでのレコーディング映像や、細野さんとのライブリハーサルの様子、そして最終公演を終えたあとの笑顔……。彼女のイメージそのままの、ふわり、豊かな時間が流れている。
（ユニバーサルミュージック・3800円＋税）＝玉木美企子
