今年2社目の上場企業倒産が発生、東証2部・名証2部上場の(株)郷鉄工所が再度の資金ショート

 東証2部と名証2部上場で産業機械製造等を手がける(株)郷鉄工所(TSR企業コード:471004715、法人番号:5200001014775、不破郡垂井町表佐字大持野58-2、設立昭和22年2月、資本金7億1735万5860円、林直樹社長)は再度の資金ショートを起こし9月6日、行き詰まりを表面化した。
 負債総額は55億2000万円(平成28年12月末時点)。
 上場企業の倒産は6月26日、民事再生法の適用を申請したタカタ(株)(TSR企業コード:295877413、法人番号:5010401052766、品川区)についで今年2社目。また、上場会社の再度の資金ショートによる行き詰まりの表面化は、平成22年12月のシルバー精工(株)(TSR企業コード:290078725、新宿区)以来。

 昭和6年5月創業し、昭和37年10月に名証2部に株式を上場(その後東証2部にも上場)した。当初は、ダム建設などで使用する建設機械修理などを手掛けていた。その後、破砕粉砕機などの橋梁鉄構部門を主業に、水門等の製造も行うなど異業種分野にも進出、ピークとなる平成5年3月期には売上高約90億8865万円をあげていた。
 しかし、その後は売上が低下し、28年3月期の売上高は37億9080万円に減少、9億1335万円の赤字を計上したことで5億9470万円の債務超過に転落、継続企業の前提に関する注記(GC注記)が記載された。
 28年5月、債務超過解消に向け株主割当増資を行うと発表したが、予定の払込額に届かず失権。同年8月以降、金融機関からの借入は困難な状況が続き、国内の事業法人や個人からの借入などにより凌いできたが、資金繰りは改善されなかった。29年3月期も業績改善は進まず、資金繰りは逼迫。8月18日、取引先から金融機関口座が差押えされる事態となった。
 そうしたなか、8月10日には29年3月期決算の有価証券報告書が期限内に提出できなくなり9月11日付けで上場廃止が決定していた。
 なお、現在も事業は継続している。

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