「北海道発 チア名鑑」最年少合格から積んだ努力、MCにも注力する19歳

活動範囲が広くファンからも愛されている日本ハム球団公式チアリーダー「ファイターズガール」。連載第4回は、16歳の時に最年少合格して3年目を迎えた畠山茉央(はたけやま・まお)さん(19)だ。

16歳の時に最年少合格して3年目を迎えた畠山茉央さん【写真:石川加奈子】

16歳の時に最年少合格、愛くるしい笑顔を振りまく畠山さん

 活動範囲が広くファンからも愛されている日本ハム球団公式チアリーダー「ファイターズガール」。連載第4回は、16歳の時に最年少合格して3年目を迎えた畠山茉央(はたけやま・まお)さん(19)だ。

 愛くるしい笑顔を振りまく19歳の素顔は、努力の虫だ。16歳で最年少合格した1年目に、いきなり挫折を味わった。

「最年少で一緒に入ったウラン(小林羽蘭さん)はダンスアカデミー出身で何でもできるのに、私はなかなか試合にもイベントにも出られず、フラッグ一つもうまく振れませんでした。悔しくて、早く追いつきたくて。でも、どれから頑張ったらいいのかわからなくて…。ひたすら練習するしかないと思ったのです」

 当時通っていた札幌旭丘高の授業が終わると、自身の出番がないにも関わらず、札幌ドームに駆けつけ、裏方役を買って出た。先輩たちが戻ってくるとポンポンを受け取ったり、フラッグを手渡したり。試合中はジャージを着て鏡の前で1人ダンスの練習。すぐ目の前に広がる憧れの舞台に早く立ちたいという思いをモチベーションに、結局全試合通い続けた。

 その姿勢は高く評価された。翌年は参加資格が18歳以上に引き上げられたため、資格を失ったにも関わらず、特例で合格となった。

 迎えた2年目はMCに力を入れた。きっかけは、DeNAから移籍してきた鈴木栞さんとの出会いだった。

「しーちゃん(鈴木さん)を見て、MCの概念が変わりました。マイク1本でこんな場が変わるんだと。ダンスももちろんですが、しゃべれるファイターズガールになりたいと思いました」と振り返る。

 MCをする度に鈴木さんに良かった点と反省点を指摘してもらい、ノートに書き残す。事前にマイクアプリに吹き込み、自分で聞いて問題がないか確認作業も怠らない。

 メンバー紹介にも工夫を凝らす。「そのメンバーと何をかけたら、覚えてもらえるか。そうやって考えているだけでも面白いですし、考えるところがスタートです」と、舞台に上がる前から想像力を膨らませ、頭をフル回転させている。

ファンフェスティバルでは一発芸を披露「人を笑わせること、喜ばせることが大好きなんです」

 入念な準備を怠らない一方、臨機応変な対応力も高い。昨年のファンフェスティバルでのこと。突然一発芸を振られて困惑していたメンバーを見て「私がやるよ!」と手を挙げた。ファイターズガールのオーディションでも披露したクレヨンしんちゃんのモノマネで笑わせた。

「人を笑わせること、喜ばせることが大好きなんです。メンバーには、いつもいじられています。どんな時でも私のキャラで明るくなってくれたらいいと思っています」

 そんな畠山さんはムードメーカーであると同時に、リーダーとしての資質も兼ね備えている。球団の事業統轄本部ゲストリレーション部試合運営グループの尾暮沙織さんは「面倒見が良く、広い視野で全体をまとめられる存在」と信頼を寄せる。毎年着実に力を付け、今年はオールスターにも“初出場”した。

 決めた目標に向かって突っ走る一途な性格。ファイターズガールになることは、一般参加で踊った小学2年生の時からの夢だった。「絶対になりたいと思って、中学1年生の時から毎年応募書類を送り続けていました」と畠山さんは笑う。年齢条件を満たせず、中学3年間は書類選考で落選。16歳に達した高校1年の冬に初めてオーディションに参加して合格を勝ち取った。

 その後はファイターズガールが生活の中心だ。今春から藤女子大学文学部日本語・日本文学科に通うが、同大受験の理由は、ファイターズガールの活動と両立できるカリキュラムを組めるから。「平日午後2時に札幌ドームに間に合う時間割を作れる大学を調べて決めました」と言う。火曜日から金曜日は1時限と2時限の授業をすべて取り、試合がない月曜日は1日中授業を組み込むという徹底ぶりだ。

 努力を重ね、子供の頃からの夢が実現した今、畠山さんが描く夢とは何だろうか。

「日々ファイターズガールは変わっています。その成長していくファイターズの一員であり続けたいと思っています」 

 まだまだ夢の途中で修行中。ファイターズガールになるという夢を叶えたからといって、満足して立ち止まる人ではないのだ。

 衣装を身につける度に畠山さんが自分に問いかける言葉がある。「自分は今、自分が憧れていたファイターズガールであるか?」。常に課題を見つけて真摯に取り組む19歳の成長をファンも温かく見守っている。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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