【新社長】〈日新工機・沖山卓司氏〉コア商品深化で収益拡大 新日鉄住金グループの会社とシナジー模索

 「日新製鋼構内の設備メンテナンス・工事が事業の柱であり、安定稼働実現に向け品質向上に取り組みつつ、コストダウンに努める。収益確保のため日新以外のエンジニアリングをしっかりと拡大して、〝信頼できるニッコウに任せよう〟と言われる会社にしたい」が抱負。市居晃前社長路線を踏襲・強化しながら、沖山流で構えることなく現場と接し、活発な意見が自然発生的に出る風通しの良い職場環境づくりに心を砕く。

日新工機・沖山社長

 大阪大学で元日本鉄鋼協会会長の森田善一郎名誉教授のゼミに入ってステンレスに興味を持ち、日新製鋼に入社。初配属先の周南研究所で約10年を過ごし、その後3年間周南製鋼所で現場操業を学んだ。経歴は一貫してステンレス操業・管理畑。直近では旧日金工鋼管と統合・発足した日新製鋼ステンレス鋼管の立ち上げに携わり、初代社長として本社1工場体制を構築した。

 周南製鋼所の製鋼リフレッシュ以降は構内作業が一服。7月末の呉第1高炉の拡大改修・第2高炉休止の延期発表に伴い、新中期経営計画を練り直し中。「操業に支障がないよう、今後の計画を親会社と話をすり合わせ、高炉巻き替えにつないでいく道筋を作っていきたい」。業績面では前期中計の目標同様、売上高280億円、ROS5%に再挑戦する。近年の事業譲渡でプラント事業にスラブグラインダー事業、搬送関連設備事業を組み込んで、単体事業でも利益が出ており「当社のコア商品となりつつあり、より良い商品にレベルアップする」と深化を図る。また、親会社の新日鉄住金グループ入りで、新日鉄住金のグループ会社とのシナジー発揮も模索する。

 世代交代はほぼ一巡したが、作業に不慣れな若年者に対する安全教育・保全技術伝承に注力する。自ら年2回は各工場に赴き、パトロールを通じて現場との対話を重ねていく。(小田 琢哉)

略歴

 沖山 卓司(おきやま・たくじ)1983年阪大院冶金工学専攻修了、日新製鋼入社、2005年周南製鋼所冷延精整部長、08年尼崎製造所長、13年ステンレス鋼管生産統合センター尼崎製造所長などを経て、今年6月末現職。趣味は海釣りと妻と連れ立っての街角散歩。休日は整形医に勧められて始めたピラティス・ヨガで汗を流す。ゴルフは100前後。1958年1月16日生まれ。山口県宇部市出身、59歳。

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