スーパー耐久:Le Beausset Motorsports 2017年第5戦富士 レースレポート

晩夏の『富士SUPER TEC』、10時間の過酷な戦いをチーム戦略とドライバー力で競り勝ち、3連覇達成!

スーパー耐久 第5戦

9月2日(土)~9月3日(日)
富士スピードウエイ
4.563km

 今シーズンはFIA-F4、スーパーFJと併せて挑む、ル・ボーセ モータースポーツにとって最高峰カテゴリーである、スーパー耐久シリーズの第5戦が9月2日(土)、3日(日)に富士スピードウェイ(静岡県)で開催された。

 使用するマシンは2シーズンにわたって開発、熟成が進められてきたレクサスRC350で、『DENSO Le Beausset RC350』としてST-3クラスに、嵯峨宏紀、中山雄一、山下健太の3人を擁して挑む。

 なお、今回は長丁場のレースとあって、DドライバーにFIA-F4で育成中の平木湧也も加えての参戦となる。

 第3戦鈴鹿での優勝を含み、第2戦から表彰台を逃しておらず、その結果ランキングはトップ。しかしながら、ST-3クラスはシリーズ随一の激戦区であるだけに、なかなか独走を許してくれないのが実情である。

 とはいえ、夏の終わりに行われる富士でのレース『SUPER TEC』は、デビューウィンを飾ってから2年連続で制している、最も得意とする一戦。ドライバー、チームともども自信
を持って挑むのは言うまでもない。2015年より2時間、16年より1時間延長された過酷な10時間レースで3連覇を目指して臨む。

予選

9月2日(土)
天候/曇り
コース状況/ドライ

 6戦中4戦が3時間で競われるスーパー耐久だが、今回はその3倍以上の10時間レース。となれば、普段のレース以上にタフネスさが求められるが、それでもライバルをけん制する意味で速さも重要。

 金曜日に行われた専有走行では、セッションごとに速さも磨き、締めとなるセッション3では1分52秒561を記録してトップにつける。

 これがターゲットタイムとなるはずだったが、いざ予選になるとAドライバーセッションに挑んだ嵯峨は、前日からのコンディション変化からか1分54秒017で7番手に。中山が挑んだBドライバーセッションでは、1分52秒739で4番手。合算タイムでスタートポジションが決まり『DENSO Le Beausset RC350』は、6番手から決勝レースに挑むこととなった。

 Cドライバーセッションに挑んだ山下、Dドライバーセッションに挑んだ平木とも、ユーズドタイヤでの走行だったものの、山下は1分53秒769でトップ、平木は54秒537で3番手につけて、決勝に向けての準備は整った。

決勝

9月3日(日)
天候/晴れ時々曇り
コース状況/ドライ

 10時間にも及ぶ長丁場とあって、決勝レースは8時からスタート。スタート担当の山下は、オープニングラップのうちに3台をかわして3番手に浮上。「DENSO Le Beausset RC350」は上々の滑り出しを切る。

 その後は3番手を守って、先行するレクサスIS350が先にピットインすると2番手に浮上。まもなく1時間半となる44周目に1回目のピットインで中山と交代、タイヤ交換、給油を行いコースに送り出すと、IS350の前に出ることに成功し2番手に浮上。

 しかし、その後にピットインしたマークXがピット時間を短縮したことで3番手に。中山は安定したラップタイムで順調に走行を重ねていたが78周目からABSの不具合が発生。予定を早めて89周目に2回目のピットインをさせて嵯峨に交代。給油と4輪のタイヤ交換を行うとともに、ABSの対応を行い無事に復活させてコースに送り出す。

 嵯峨は96周目の1コーナーに差し掛かると、前車のマシントラブルからオイルが撒かれてスリッピーな状態になっており、グリップを失いコースオフするも、すぐに復帰して事なきを得る。このオイル処理をする為にセーフティーカー(SC)が5周に渡って入りレースが再開。

 リスタート時には不運にもスピードが最も遅いST-5クラスが直前に、尚且つそのマシンがリスタートに出遅れたことから、更なるタイムロスを強いられるという展開となってしまう。

 127周目に山下への交代の3回目ピットインでは、時間短縮を狙い左側タイヤのみの交換で2番手に浮上。しかし、直後には#39 RC350がピタリとついての走行となり、スプリントレースのような展開。

 165周目の4回目のピットインでは給油と4輪タイヤ交換から再び中山が2番手を走行。216周目の5回目のピットインも左側タイヤのみの交換で嵯峨をコースへと送り出しトップに浮上。ライバルチームとのピット戦略での攻防もあり順位を入れ替えながら終盤を迎える。

 残り時間からあと1回の燃料給油とタイヤ交換でゴールが可能という計算ができていたが、ドライバー交代7回のルールを消化しなければならない為、もっともピットイン時間が短縮でき、尚且つスピードの出せる戦略として、6回目のピットではタイヤ交換のみで送り出し、重量が軽くフレッシュなタイヤで最速ラップを目指して中山がコースイン。

 4周をこなして7回目のピットインでは燃料給油のみで山下に交代してコースに送り出す。まもなく、266周目に最後のピットインを終えたマークXがコースに戻ると、山下は1コーナーで真後ろにつける。テールツーノーズ状態でチャンスをうかがい、ついにダンロップコーナーで捕らえてトップに浮上。

 そこから先も山下は猛プッシュ、1分53秒台での周回を重ね徐々に差を広げて、11秒差をつけてトップでチェッカー。10時間304周も走って11秒の僅差しかないタフなレースを、チーム戦略とドライバー力で競り勝ち、富士SUPER TECでの3連覇を達成した。

 シリーズチャンピオン獲得に一歩近づいたが、10月14~15日に岡山国際サーキットで行われる最終戦では、初の栄冠獲得に向けて全力で挑むことを誓う。

ドライバーコメント

チーム監督 坪松唯夫

 勝てて本当に良かった。10時間レースで7回のピットストップをメカニックがパーフェクトにこなしてくれ、チームの戦略をドライバーそれぞれが的確に全うしてくれた。何よりもトヨタ自動車のホームコースでチームの底力を見せられた事を嬉しく思う。最終戦はチャンピオンが掛かった重要なレースになるが攻めるレースで勝ちに行く。

Driver 嵯峨宏紀

 今年もトラブルなく、ミスもなく淡々と走っていたように見えるかもしれませんが、ABSのトラブルを抱えたり、タイヤ左側のみ交換でタイヤマネジメントをしたり、ライバルチームとの争いの中で、いろいろと戦略を変えていき、チームもドライバーもミスなく戦った結果、3連覇を達成できたと思います。ドライバーとしても、チームとしてもすごく誇りに感じます。

Driver 中山雄一

 実は僕、4連覇なんですよ。2014年にもST-1クラスで勝っているので(笑)。今年もうまくいきました。楽勝ではなかったですが、チームもドライバーもレベルが高いので、こうやって距離が伸びれば伸びるほど、強さが発揮できるのではないでしょうか。予選はスピードが足りませんでしたが、それを補うだけの力が決勝にあったので勝つことができました。与えられた仕事を全うできたので、良かったです。

Driver 山下健太

 スタートのオープニングラップで3番手まで上がれましたし、途中では、片側タイヤ交換の条件下で、安定して速く走らせることができたと思います。最後のスティントでは『飛ばせ、飛ばせ!』と言われていたので、頑張りました。マークXがピットで前に出たので、これは抜かないといけないから、もう必死でした。抜けて良かったです。最後は何も考えないでゴールまでトップを守ろうと毎周頑張りました。3連覇できて良かったです。

Driver 平木湧也

 土曜のDドライバー予選は3番手で、決勝は乗らなかったんですが、今回は86/BRZレースとダブルヘッダーで、86の走りとS耐の走りをちゃんと区別できるように、いろいろ考えながらレースウィークを取り組んでいたつもりでしたし、その中でS耐も2年目ということで走り方もいろいろ勉強できましたし、練習ではタイムもコンスタントに出すことができたので良かったと思います。またチャンスがあれば、走りたいです。

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