キリシタン遺物か 多数出土

 諫早市多良見町山川内の「千々石ミゲル墓所推定地」で発掘調査をしていた民間の実行委員会(会長・立石暁長崎総合科学大理事長)は8日、ロザリオの一部とみられる59個の玉と、信仰用具の一部とみられるガラス板1枚が出土したと発表した。実行委は「キリシタン遺物の可能性が高い」とみている。

 千々石ミゲルは1585年にローマ法王に謁見(えつけん)した天正遣欧使節の一員。4人の使節で唯一、キリスト教を棄教(ききょう)したとされる。出土品はミゲルが最期まで信仰を維持していたことを示唆しており、定説は再検討を迫られそうだ。

 発掘調査は同日で終了。同日までに人間の歯、骨片、遺体を納めた長持とみられる木棺の金具なども出土した。遺体は手足を折り曲げて屈葬にしたとみられる。墓所に立つ墓石には仏教の戒名が刻まれており、実行委は、仏式で葬りキリシタンの副葬品を納めた「潜伏キリシタン的埋葬状況」とみている。

 出土した玉は直径2~5ミリ。色は青、白、紺、黒、茶で、真ん中に通し穴が開いている。カトリック信者が祈りの際に使うロザリオは59個の玉をつなぐため、出土した数と一致する。ガラス板は縦1・4センチ、横2・6センチの半円状で、半分に割れた状態。キリストや聖人の遺品などを納める「聖遺物入れ」という小箱のふただった可能性があるという。

 実行委の依頼で出土品の画像を見た東京芸術大大学院非常勤講師の今野春樹氏(キリシタン考古学)は「ガラス板は気泡が少ない良質のもの。ヨーロッパで生産されたアルカリガラスの可能性が高い。ミゲルがヨーロッパから持ち帰ったものかもしれない」と話している。

 立石会長は「驚くべき発見が得られた。重要な遺跡として墓所を適切に保存していくように県や諫早市に要望したい」と話した。

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