テルニウム、伯CSAの買収完了 CEOにチャラ氏

 中南米の鉄鋼メーカー、テルニウムは7日、ブラジルの高炉メーカー、アトランティコ製鉄(CSA)の買収が完了したと発表した。これによりCSAは「テルニウム・ブラジル」へと改称した。

 CSAは年産能力500万トンで、半製品のスラブのみを造る製鉄所。テルニウムはメキシコ事業などで上工程能力が不足しており、高品質なスラブの自給に向けドイツのティッセン・クルップ(TK)子会社だったCSAを15億ユーロ(約1800億円)で買収することで2月に合意していた。

 TKは機械系事業やサービス分野に力を入れる経営方針のもと、かねてからCSAの売却を模索。米国アラバマ州の薄板事業(現AM/NSカルバート)もアルセロール・ミッタルと新日鉄住金に売却済みで、CSAも買い手が付いたことで米州鉄鋼事業からの撤退は完了した。売却で得た資金は有利子負債の削減に充てる考え。

 テルニウム・ブラジルの社長兼CEOには、アルゼンチン事業の役員だったマルセロ・チャラ氏が就任した。チャラ氏はかつて伯ウジミナスへ派遣され生産担当の副社長を務めていたが、2014年に新日鉄住金が発議したコンプライアンス問題で解任され、古巣のテルニウムへ帰任していた。再び伯事業で起用された形になる。

 旧CSAはスラブの有力サプライヤーだったが、今後はテルニウム・グループのサプライチェーンに組み込まれ外販が減るものと見込まれる。テルニウム・ブラジルはTK時代に結んだAM/NSカルバートへの年間200万トンのスラブ供給契約を受け継ぐとしているが、同契約は19年9月までが期限で、将来的にはスラブの商流にも変化が生じる可能性がある。

 テルニウムのCSA買収は8月1日にブラジルの独占禁止当局、経済擁護行政委員会(CADE)が無条件で承認。伯高炉メーカーのナショナル製鉄(CSN)が反対を表明していたが、これが退けられて売買が完了した。

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