TCR:2018年投入の『ルノー・メガーヌTCR』、テクニカルディテールを公表

 スイスに拠点を置くプライベーター・チーム、ブコビッチ・モータースポーツの手により、2018年のデビューを目指して開発が進められている新型『ルノー・メガーヌTCR』だが、先日のアナウンスに続き、開発中のマシンに関する技術詳細が明らかにされた。

 昨年2016年限りでシリーズの幕を降ろしたドイツの国内選手権であるDTCドイツ・ツーリングカー・カップでタイトルを獲得するなど、長年プラベーターチームとして活動してきたブコビッチ・モータースポーツは、フランスの本家ルノー・スポールの承認を得てこの4代目『ルノー・メガーヌ』をベースにTCR車両の開発に着手。

 新型メガーヌの持つ高いねじれ剛性と適切なサスペンションレイアウトは、TCRのベースモデルとして最適だと強調した上で、チームとして現在は空力開発に注力しフロント部での最適なダウンフォースレベルと冷却、およびインテークへの適切なフレッシュエア導入を両立させると同時に、リヤエンドはドラッグの最小化に腐心しているという。

 またルノー・スポールによるプロジェクト承認後は多くの有力サプライヤーが開発に参画し、ボッシュ・モータースポーツがエンジン管理、ECUパワーボックス、ダッシュボード、ワイヤハーネスなど、エレクトロニクス全体の監督を担当。

 フランスの高性能トランスミッション製造のスペシャリストである3MOは、彼らの手による最新のフロントドライブ用シーケンシャルギヤボックスをセレクトすると同時に、機械式LSD(リミテッド・スリップ・デファレンシャル)とそのセットアップデバイスを供給する。

 このシーケンシャルトランスミッションは、ホンダ・シビック・タイプRを始め、アウディRS3 LMSやセアト・レオン、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIなど、主要なTCR車両にも供給されるスタンダードなものとなっている。

 そしてツーリングカーの世界ではおなじみである、ドイツKW製のショックアブソーバーは、ブコビッチ・モータースポーツとの共同開発による専用チューンのコイルオーバーをチョイスし、その足元にはOZ製のホイールを装着。

 マクファーソン形式のフロントは2WAYアジャスタブル・ダンパーでアンチロールバーとロールセンターの調整が可能。トーションビームのリヤにも2WAYアジャスタブル・ダンパーを採用し、こちらもアンチロールバーの調整が可能となり、両社ともにTCRシリーズからの指定を受けた認証サプライヤーとなっている。

 また心臓部となるエンジンは、スイスとオーストリアに囲まれた小国リヒテンシュタインに本拠地を置くエンジンチューナー、レーマン・モトーレンテクニーク社が開発を担当し、長年培ってきたターボチャージャーのノウハウを活用。1798ccの4気筒直噴ターボをレーストラック仕様の耐久性を維持しつつ、ライバル勢より少ない排気量から350PS/420Nmの出力を絞り出す。

 そのほか、クラッチにはドイツ・ザックス製のツインプレートを採用し、ブレーキはAPレーシング製でフロントは380mmのベンチレーテッドディスクに6ポッドキャリパー、リヤ2ポッドの構成となっている。

 スイス・サンクトマルグレーテンにあるチームのワークショップでは、現在も集中的なR&Dとコンストラクションの作業が行われており、この新型『ルノー・メガーヌTCR』は年内のシェイクダウンを予定。同時にカスタマーからの問い合わせ、受付も開始している。

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