パMVPは打の柳田、投のサファテのホークス勢が本命? 西武・菊池も躍進

セ・パ両リーグともに、ペナントレースはマジック「1」、まさに大団円を迎えるところだ。そろそろMVPが気になるところ。今季は誰が獲得するだろうか? ここではパ・リーグを予想してみたい。

ソフトバンクのデニス・サファテ(左)と柳田悠岐(右)【写真:藤浦一都】

昨季は大谷翔平が獲得、パ・リーグMVPを予想

 セ・パ両リーグともに、ペナントレースはマジック「1」、まさに大団円を迎えるところだ。そろそろMVPが気になるところ。今季は誰が獲得するだろうか? ここではパ・リーグを予想してみたい。

 昨年は投手で10勝、防御率1.86、打者として104安打22本塁打67打点、打率.322を記録した日本ハム・大谷翔平が獲得した。規定投球回数にも、規定打席にも達しなかったが投打での活躍が評価された。投手、DHの2部門でベストナインに選出されたが、これも前代未聞だった。

 今季ここまでの成績から今年のMVP候補をピックアップしよう。

【打者の各部門3傑】
〇安打数
1.秋山翔吾(西)166、2.浅村栄斗(西)155、3.西川遥輝(日)122
〇本塁打
1.デスパイネ(ソ)32、2.レアード(日)31、3.柳田悠岐(ソ)29
〇打点
1.柳田悠岐(ソ)95、2.デスパイネ(ソ)94、3.浅村栄斗(西)92
〇盗塁
1.西川遥輝(日)35、2.源田壮亮(西)34、3.外崎修汰(西)・金子侑司(西)19 
〇打率
1.秋山翔吾(西).324、2.柳田悠岐(ソ).309、3.浅村栄斗(西).298

 大谷翔平もそうだったが、MVPは優勝チームから選ばれることが多い。その意味ではソフトバンクのデスパイネと柳田悠岐が有力候補と言える。柳田は本塁打、打点、打率で3傑に入っている。しかし、いずれもタイトルには届かない可能性がある。デスパイネは本塁打1位、打点でも2位につけているが打率は.260で19位だ。

 安打、長打、四死球、盗塁、犠打、犠飛を加味した打者の総合的な指標であるRCの3傑は以下の通り。

1.秋山翔吾(西)113.48、2.柳田悠岐(ソ)107.18、3.T-岡田(オ)88.08

 優勝チーム以外からMVPが選ばれることはあるが、それは3冠王など傑出した成績を上げた選手に限られる。打者ではソフトバンクの柳田が有力だが、決め手に欠ける印象だ。

圧巻の成績を残す西武・菊池が獲得する可能性も?

 投手はどうだろうか。

【先発投手の各部門3傑】
〇勝利数
1.菊池雄星(西)、東浜巨(ソ)15勝、3.千賀滉大(ソ)13勝
〇奪三振数
1.菊池雄星(西)201、2.則本昂大(楽)187、3.岸孝之(楽)162
〇防御率
1.菊池雄星(西)2.07、2.岸孝之(楽)2.64、3.東浜巨(ソ)2.72

 ソフトバンクでは東浜と千賀の名前が出ているが、今季の先発投手では西武の菊池雄星が上記3部門に加え完封も4試合で1位。圧倒的な成績だ。

 救援投手も見ていこう。

【救援投手の各部門3傑】
〇セーブ数
1.サファテ(ソ)51、2.松井裕樹(楽)31、3.増田達至(西)27
〇ホールド数
1.岩嵜翔(ソ)39、2.シュリッター(西)32、3.森唯斗(ソ)29

 サファテはNPBのシーズンセーブ数記録46を10年ぶりに塗り替えた。抜群の活躍だった。(リーグ平均防御率-投手の防御率)×投球回で算出される投手の総合指標PR(PitchingRun)で見ると以下の通りとなる。

1.菊池雄星(西)277.87、2.サファテ(ソ)173.60、3.松井裕樹(楽)164.39

 西武の菊池が1位だが、投球回数が少ない救援投手のサファテと松井が2位、3位。サファテは防御率0.87、松井は0.36。リーグ防御率(3.67)を大きく下回る防御率だったので、数字が跳ね上がったのだ。

 投手としての貢献度では、ソフトバンクでは先発投手よりもサファテの方が大きいのではないか。セーブ数のNPB新記録を更新したというインパクトもある。

 打者では柳田悠岐、投手ではサファテがMVP候補になるだろう。西武の菊池雄星が投手5冠に輝けば、それに割り込んでくる可能性もある。サファテがややリードしているように感じられるが、MVP投票権を持つ記者諸氏の評価はどうなるだろうか?(広尾晃 / Koh Hiroo)

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