プロ初勝利のハム吉田、憧れは高校の先輩・上原浩治「雑草魂を胸に刻んで」

日本ハムの2年目右腕・吉田侑樹投手が18日、本拠地でのオリックス戦でプロ初勝利を挙げた。初めて上がったお立ち台では、札幌まで応援に駆けつけた両親に向かって「ご両親! 勝ちました!」と叫んでスタンドを沸かせた。

日本ハム・吉田侑樹【写真:(C)PLM】

オリックス戦で7回5安打1失点の好投「ご両親! 勝ちました!」

 日本ハムの2年目右腕・吉田侑樹投手が18日、本拠地でのオリックス戦でプロ初勝利を挙げた。

 初回に4点の援護をもらうと、キレのある直球を主体にして攻め続け、7回5安打1失点の好投。初めて上がったお立ち台では、札幌まで応援に駆けつけた両親に向かって「ご両親! 勝ちました!」と叫んでスタンドを沸かせた。

 この日を待っていた。「去年1年間1軍に上がれなかったので、長かったですね」とホッと息をついた吉田。加藤貴之投手と井口和朋投手は1年目から1軍登板し、今季は上原健太投手がプロ初勝利、横尾俊建内野手がプロ初アーチと同期に遅れを取っていた。「自分だけ取り残されていたので、絶対に見返したいと思っていました」と負けん気の強さを見せた。

 過去3試合の経験を生かした。プロ初登板初先発となった4月14日楽天戦では5回途中7安打3失点で負け投手になった。7月20日楽天戦では5回5安打無失点ながら勝ち負けつかず。同31日ソフトバンク戦では3回途中7安打5失点でKOされ、2敗目を喫した。

「今まで1軍マウンドで力みすぎていたので、力を抜いて軽い気持ちでというのが良かったと思います。2軍でも力感なく投げている時はいい感じだったので」とこの日の投球を自己分析した。序盤3点の援護をもらいながら5失点した前回ソフトバンク戦の反省も生かした。「今日は常に同点のつもりで、守りに入らないピッチングを心がけました」と振り返った。

高校の先輩・上原は「地元の英雄」「自分はまだまだですけど、負けたくない」

 直球のスピードは140キロ中盤ながら「見た目よりも球が強い」と吉井理人投手コーチは言う。見た目と実際の球質のギャップが打者を惑わせるようだ。「そんなにコントールがいいわけではないが、前に鋭い当たりは飛ばなかった。持ち味を出してくれた。順調です。課題は基礎体力。高卒みたいな体なので、これからもっともっと強くなる」と期待をかける。

 東海大仰星高入学時は181センチ、59キロと極端に線が細かった。「(東海)大学時代は食べるのは練習以上に苦痛だった」と苦笑いするほど、体重増に苦労してきた。プロ入団時187センチで80キロだった体重は現在87キロに。「成長したのは体の大きさ。ストレートに重さが出た」とその恩恵を実感している。

 同じ高校出身の偉大な先輩を追いかける。メジャーリーガーの上原浩治は憧れの投手。「地元では英雄。自分はまだまだですけど、負けたくない。雑草魂を胸に刻んでやっています」と力を込める。高校時代は控え投手ながらメジャーまで上り詰めた上原のように、吉田もドラフト7位の下位指名から這い上がっていくつもりだ。

 大きな自信をつかんだプロ初勝利。「来年は先発ローテで2ケタ勝たないといけないと思っています」。敢えて自分にプレッシャーをかけるように、高い目標をぶち上げた。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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