朝鮮系「隆起文土器」を確認

 対馬市上県町越高にある縄文時代の「越高(こしたか)遺跡」で18日、市教委と熊本大は2015年から続ける発掘調査の現地説明会を開いた。発掘した土器片のほとんどが朝鮮半島系の「隆起文(りゅうきもん)土器」で、朝鮮半島から渡ってきた人が暮らすため対馬で作ったものとみられる。調査チームは「縄文時代の朝鮮半島と日本列島の交流を検証する上で貴重」と評価している。

 調査チームによると、越高遺跡は、縄文時代早期末(紀元前5千年)から前期初頭(同4500年)にかけての遺跡。隆起文土器は、作る際に粘土の帯を貼り付け、指や爪などを押しつけ装飾する。朝鮮半島南部で紀元前5400年~同4400年にかけて多く製作された。

 3年間の調査で出土した土器片約470点のうち、ほとんどが隆起文土器で対馬産粘土で作られていた。日本のほかの遺跡では隆起文土器は見られない。また、当時の日本にない四角形の「炉」跡も出土した。

 隆起文土器は粘土の成分分析の結果、多くは対馬産の粘土に隆起文を付けたもの。また、10点ほどは、隆起文と縄文式の模様が共にあり、二つの文化が融合しているさまが見られた。

 1メートル四方を平石で仕切った炉からは、木炭や焼けた動物の骨計約10点が見つかった。日本の縄文時代の炉は、丸石などで円形に組んだものが主流。同じ時代の韓国中部の遺跡では、平石で四角に仕切った炉が発掘されている。

 調査チームの小畑弘己熊本大教授は「縄文文化と融合した土器片もあり、対馬は先史時代から朝鮮半島との結節点だったことがうかがえる」と指摘している。

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