新日鉄住金グループの「NSエコパイル」、北陸新幹線の鉄道高架橋基礎で国内初の斜杭施工

 金沢以西で建設が進む北陸新幹線敦賀延伸工事の高架橋基礎工事に、新日鉄住金と新日鉄住金エンジニアリングが展開する回転圧入鋼管杭「NSエコパイル」が相次いで採用された。使用されたのは「小松木場潟(北)高架橋」(延長2289メートル)と「同(南)高架橋」(延長2645メートル)の二つの工区で、合わせて1万2400トン。両工区では、鉄道高架橋の基礎工事として国内初となる「斜杭施工」が一部で採用された。

 同鋼管杭はこれまで、北陸新幹線の長野―金沢間や北海道新幹線など

斜杭の施工現場

新幹線高架橋のほか、高架道路や建築物などの基礎杭として多数の採用実績はあったが、鉄道構造物に斜杭施工されるのは今回が初めて。

 金沢以西の路線のうち小松市木場潟付近は、潟の埋立てにより地盤が非常に軟弱で、被圧地下水が多いため、場所打ちコンクリート杭に比べ耐震性が高く被圧水に影響しない回転圧入鋼管杭が採用された。

 さらに、軟弱地盤で杭が長くなると杭サイズも大きくなることから、少ない本数で大きな水平抵抗力を確保できるなど、経済性の高い斜杭(斜角は4度)で行われることになったもの。この施工には鉄道建設・運輸施設整備支援機構と鉄道総合技術研究所の共同研究による設計法が適用された。

打設されるNSエコパイル

 小松木場潟(南)高架橋(佐藤・三軌・IMKJV)では杭径1300~1500ミリ、杭長23~38メートルの同鋼管杭364本が施工される。使用量は7600トン。このうちRCラーメン高架橋基礎部分の296本が斜杭施工される。5月の連休明けから打設を開始しており、12月末に完了する予定。

 これに続き小松木場潟(北)高架橋(鉄建・TSUCHIYA・向出JV)では同鋼管杭4800トン、271本が施工され、そのうち119本が斜杭施工される。9月末から打設を開始し来年4月の完了を目指している。

 「NSエコパイル」は、らせん状に加工した鋼板(羽根)を先端に溶接した鋼管杭。鋼管を回転させ羽根の推進力で圧入することで、地盤を堀削することなく無排土、低振動・低騒音で施工できる。

 斜杭は全旋回機を傾けて回転圧入するため、直杭以上に品質の確保が難しい施工方法。同グループでは東海環状自動車道などこれまで道路分野で豊富な実績をもっていた。

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