県内基準地価 住宅地、2年連続下落

 県は19日、県内927地点の基準地価(7月1日時点)を公表した。平均変動率は住宅地がマイナス0・2%と2年連続で下落した。都心へのアクセスなど利便性が高い横浜、川崎市などが引き続き堅調な一方、人口の減少や高齢化が進む地域は下落が続いた。「都心回帰と、さらなる二極化が進んでいる」と県政策局は分析する。金融緩和による潤沢な投資資金の流入などで商業地はプラス1・5%、工業地は同2・0%と、いずれも5年連続の上昇となった。

 住宅地は633の継続地点のうち、232地点で上昇し164地点で横ばい、237地点で下落した。前回調査と比べ、横ばい地点の割合が1・8ポイント増えたのに対し、上昇幅(1・4ポイント減)と下落幅(0・4ポイント減)は縮小した。

 市区町村別の平均変動率は、前年上昇した29市区のうち横浜市旭区が横ばいに転じたが、前年に横ばいだった相模原市中央区が上昇し、上昇地域数は前年と同数だった。上昇地域は横浜、川崎、相模原の3政令市が大半を占め、それ以外には藤沢、海老名、大和の各市が今年も入った。変動率は横浜がプラス0・9%、川崎が同1・1%、相模原が同0・4%だった。

 一方、人口減少や高齢化が課題となる郊外や地方は下落傾向が続いた。下落幅は「おおむね前年並み」(県政策局)で三浦市、真鶴町、湯河原町がマイナス4%台、南足柄市と大磯、二宮、中井、大井、山北の各町がマイナス3%台。

 商業地は、220の継続地点のうち、140地点で上昇。高度商業地の横浜、川崎両市の上昇幅が拡大し、前者がプラス2・7%(前年がプラス2・5%)、後者が同3・2%(同2・8%)。

 横浜市は昨年に続き、全区で平均変動率が上昇。個別地点では、横浜駅周辺の再開発への期待などで同駅近隣の6地点のほか、中華街の1地点が上昇率10位以内に入った。川崎市も、武蔵小杉駅周辺の再開発事業が進む中原区など、全区で平均変動率が上昇した。

 相模原市は、リニア中央新幹線の新駅設置などへの期待感から、橋本駅周辺の地点がプラス12・9%と上昇率2位にランクイン。火山活動の終息や観光需要の回復を背景に、箱根町がプラス1・4%と、前年(プラス0・5%)から上昇率が拡大した。

 1平方メートル当たりの用途別平均価格は、住宅地が17万6200円。価格トップは6年連続で高級住宅地の横浜市中区山手町。商業地は、52万2100円で、昨年の選定替えで加わった横浜駅西口の同市西区南幸1丁目地点が2年連続で価格トップとなった。県は20日、県公報で公告する。

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