中国鋼材市況、上昇に一服感 本渓火災、早期復旧で

 5月以降、熱延コイルが毎月200~300元(約40ドル)上昇してきた中国鋼材市況。9月も本渓鋼鉄の第1高炉事故を受け一段高になったが、火災影響が短期で収束すると伝わるや一服感が広がっている。

 ホットなど鋼材も上場している上海先物市場の値動きは、とかく投機筋の思惑で左右される。本鋼の火災が起きた1日は約2時間で買いが殺到しストップ高となり、30ドルほどホットの取引価格は跳ね上がった。その後も本鋼をめぐる噂が飛び交う中、一時はトン当たり4400元(約660ドル)を突破した。

 しかし本鋼が5日夕からホットの輸出オファーを再開。減産影響は小さいとの見方が強まると、この日を境に先物価格も下落へ転じる。直近の取引で10月引渡分の価格は4100元を割り込んでおり、火災が起きる前の8月31日の終値4122元を下回る水準へ逆戻りした。

 現物市場の値動きも、先物市場につられ、これまでは上昇が続き、今月に入りホットで4400元程度(増値税込み)と、2012年5月以来となる5年4カ月ぶりの高値を付けた。しかし先週にはやや反落しており、水を引いたように値下がりした先物価格の影響が見られつつある。

 10月1日から大型連休の国慶節が始まり、当面の商いは乏しくなると予想される。宝山鋼鉄など中国高炉大手は10月販価で値上げを打ち出しているが、連休明けの10月半ばから市場はどう動くか。「冬季の大気汚染対策で製鉄所に減産規制が入り、需給は均衡する」(高炉メーカー輸出担当)との期待感はある半面、実際の需給と違う論理でも動く先物市場に振り回される色合いは徐々に濃くなっている。

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