「ロックコープス2017」終了、「フィフス・ハーモニー」もボランティア活動に参加

 4月にスタートした社会貢献型イベント「RockCorps(ロックコープス)」が今年も終了しました。

 4時間のボランティア活動をすると有名アーティストのライブを無料で観覧できる「ロックコープス」は、音楽の力で人々のボランティア活動への関心を高め、参加を推進する新しいスタイルの社会貢献です。

 2003年に米国で始まり、14年からは日本でも開催されています。昨年までは東日本大震災の被災地復興を目標に福島で実施されていましたが、今年度からは首都圏に活動の幅を広げています。

 今年は、4月29日から9月2日までの約4カ月間、4595人が街の清掃や被災写真の修復、農作業や自然保護の手伝い、子供のための木製おもちゃ作りなど30種類のプログラムの中から自分に合うものを選び、ボランティア活動を行いました。

 9月2日には、ロックコープスの締めくくりとなるライブイベント「セレブレーション」が幕張メッセ(千葉市)で開催され、4130人が来場。海外から米ガールズ・グループ「Fifth Harmony(フィフス・ハーモニー)」、国内からはロックコープスの公式アンバサダーである高橋みなみさん、ロックバンド「SPYAIR(スパイエアー)」、「androp(アンドロップ)」、シンガー・ソングライターのmiwa(ミワ)さんが出演しました。

 アーティストらも全員、4時間のボランティア活動に参加して最終日のライブに臨みました。

 「フィフス・ハーモニー」は、前日の1日に都内で実施された、間伐材を使用して積み木などのおもちゃをつくる作業に参加しました。

 この日、約120人のボランティアが木箱に色を塗るなどの作業をしていたところ、突然グループのメンバー4人全員が登場。会場が興奮に包まれる中、参加者と同じテーブルにつき、作業に取り組みました。

フィフス・ハーモニーのアリー・ブルックさん(左)とダイナ・ジェーンさん
フィフス・ハーモニーのノーマニー・コーディ(左)さんとローレン・ハウレギーさん

 メンバーのアリー・ブルックさんは、気さくに周囲に話しかけながら、木箱にハートマークを描き、カラフルにペイント。「ダイスキー」と日本語を連発し、「参加者と一緒にできて楽しい」と満足げでした。

きれいに仕上がり大満足!のアリー・ブルックさん
おもちゃ作りの作業終了後は参加者全員と記念撮影

 また、ノーマニ・コーディさんは「童心に返って楽しみながらできました。ロックコープスは、今後も続いていくと思います。若者が社会貢献できるので、社会に変化が訪れそう」と語りました。

 「スパイエアー」の4人は、6月に福島市内での農作業に参加したとのこと。メンバー全員が、生まれて初めてのボランティア活動だったそうです。

 「敷居が高いと思っていたボランティアですが、たくさんの人と一緒に作業をしてみて自分の気持ち一つで変わるということを実感しました。ロックとボランティアが繋がるなんて他にはないこと」と述べ、「新しいきっかけになるってすばらしい。これからもやっていきたい」と宣言しました。

「ロックとボランティアが繋がるってすばらしい」と語る「スパイエアー」のメンバー

 ライブイベント当日は、10代の若者から70代の人まで4000人を超える参加者が、ステージのアーティストらと思いを共有し、会場は熱気に包まれました。

 千葉市から参加した20代の女性は「SPYAIRのファン。SNSで知って、初めてボランティアに参加しましたが楽しい。来年も参加したい」と興奮気味。都内に勤務する30代女性は「ロックコープスもボランティアも初めて。でも期待以上のものが得られました。参加しやすく、初めて出会う参加者とも繋がれました」と話し、今後はロックコープスでなくてもボランティアに参加しやすくなりそうと笑顔。

 「ロックコープス」の生みの親であるスティーブン・グリーンさんは、日本での4回のロックコープスを終了し、その思いを語ってくれました。

 「今年からボランティア活動の場を首都圏にも広げ、新たな始まりと思っています。ロックコープスは4時間のボランティアで手を動かし、頭で考えることで何か変化が生まれることが魅力です。4時間のボランティアでライブチケット1枚が手に入るが、終わった後、チケット1枚以上の物があると気づく。気持ちの変化が生まれるのです。ボランティアは、自分の好きなこと、自然、動物などへの手助けで、シンプルで身近な物なのです」。

 メトロポリターナ世代の女性たちへは、「人生には働く自分とプライベートの自分がいます。これをテーブルの脚にたとえると、2本の脚ではテーブルは立っていられない。立つためにはもう1本脚が必要です。それをボランティアにしてほしい。脚が3本あってこそ、テーブルはしっかり独立できるのです」とメッセージを贈ってくれました。

ライブ「セレブレーション」の模様

 ちょっとだけ、今までと違う何かをやってみたいと考えていたら、来年はロックコープスに参加してみませんか。

 「ロックコープス2017」の模様は、9月30日(土)午後2時から、BS-TBSで放送予定です。

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