製鋼スラグ原料の「改質材」、国交省の岸壁耐震補強に採用 新日鉄住金が供給

 新日鉄住金は22日、製鋼スラグを原料とする「カルシア改質材」が国土交通省の東予港(愛媛県)の岸壁耐震補強工事に採用されたと発表した。公共岸壁の耐震化にカルシア改質材が使われたのは初めて。八幡製鉄所(北九州市)の製鋼スラグ1万2千トンを使用した。

 今回の工事は国交省四国地方整備局松山港湾・空港整備事務所が発注した東予港中央地区岸壁築造工事。岸壁の耐震補強を目的とした埋立工事の一部にカルシア改質材と浚せつ土砂を混合した「カルシア改質土」を使用した。カルシア改質材は軟弱な浚せつ土砂の強度を高める効果がある。カルシア改質材と軟弱な浚せつ土砂と混合すると、浚せつ土砂に含まれるケイ素と製鋼スラグのカルシウムが混ざってセメント反応が起き強度が増す。浚せつ土砂はそのまま埋め立てに使うと液状化しやすいが、カルシア改質材と混合するとこれを防げる。

 新日鉄住金は浚せつ土砂の有効利用につながる利点をアピールし、カルシア改質材のさらなる普及拡大につなげたい考え。

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