Twitter社、トランプ氏の対北朝鮮ツイートへの批判を退ける

米トランプ大統領が発信した北朝鮮を威嚇するツイートに対して、不適切だとの指摘が出ていたが、Twitter社は「ニュース価値がある」として削除しない方針を示したと英ガーディアンが報じた。

トランプ大統領は、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相が24日に国連総会で行った演説を受けて、「北朝鮮の外相の国連での話を聞いた。彼がリトル・ロケットマンの考えをオウム返しするなら、彼らはそう長くないだろう」とツイートした。

北朝鮮は「最高尊厳」である金正恩党委員長に対する批判に対して、極めて敏感かつ激烈に反応するため、諸外国は従来、金正恩党委員長に対する直接的な表現は避けられてきた。しかし、トランプ氏はそれを意に介さず「リトル・ロケットマン」という表現で揶揄したのだ。

李外相は25日に緊急の記者会見を開き、「アメリカの現職大統領が述べた言葉であり、明確な宣戦布告だ」と強く非難し、「米国が宣戦布告した以上、今後米国の戦略爆撃機が我が国の領空を侵犯しなくともすべての自衛的対応権利を有する」として強く反発するなど、舌戦が情勢の緊張にエスカレートする事態となっている。

このようなツイートに対して、Twitter社はポリシー違反なのになぜ放置しているのかと批判する声が高まっている。Twitter社のポリシーに次のような条項がある。

Twitterでは、すべての人が安心して参加できる環境作りを目指しています。ですから、脅迫行為や暴力を助長するツイートをそのままにしません。また人種、民族、出身地、宗教、性的指向、性別、性同一性、年齢、障碍を理由とした個人または団体に対する脅迫行為、または暴力やテロの助長を禁じます。

これに基づき、ポリシー違反のツイートを発した場合は、発信が一時的に制限されたり、アカウントが凍結されたりする。

巻き起こった批判に対してTwitter社のパブリックポリシーチームは25日、次のように釈明した。

Twitter社はすべてのアカウントに同じ規約を適用しており、ツイートがポリシー違反かどうかは複数のファクターで検討するが、削除するにあたって、ニュースの価値と社会の関心を考慮する――。

つまり、トランプ氏がいかにひどいツイートを発したとしても、大統領であるという理由だけで一切削除されない特権を持つと表明したことになる。

同社はこのようなポリシーを社内で適用してきたが、近くこれを公の規約に反映させる方針だ。

日本でもヘイトスピーチを含む著名人のツイートにTwitter社が措置を取らないことに対して批判が高まり、抗議活動が行われている。戦争や暴力を引き起こしかねないツイートであっても、ニュース価値があるならば対策は取らずに放置するというのがTwitter社の方針のようだ。

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