巨人菅野、最多勝当確の17勝目 今世紀セ・リーグ2位タイの18勝なるか?

DeNAと激しく3位争いをしている巨人のエース右腕・菅野智之が、ヤクルト戦で6回を零封、17勝目を挙げた。

巨人・菅野智之【写真:Getty Images】

2位の広島薮田に2差、今季は“十分“な援護で初の最多勝は確実に

 DeNAと激しく3位争いをしている巨人のエース右腕・菅野智之が、ヤクルト戦で6回を零封、17勝目を挙げた。これで勝ち星2位につける広島、薮田和樹に2差。広島の残り試合が3であることを考えると初の最多勝は確定的だ。

 原辰徳前監督の甥である菅野は、2011年の日本ハムのドラフト1位指名を拒否し、1年浪人後に2012年ドラフト1位で巨人に入団して1年目に13勝。2年目には防御率1位のタイトルを獲得し、MVPに輝いているが、勝ち星は1年目の13勝から12勝、10勝、9勝と年々減少していた。

 9勝の2016年も防御率1位、奪三振王に輝いたが、防御率2.01に対し、援護率は2.88。これはセの規定投球回数以上の投手では最低。最多勝(16勝)に輝いた広島の野村祐輔が防御率2.71に対して援護率5.74だったのと比較しても、味方の援護の少なさが際立っていた。昨年までは「菅野が投げると味方打線が打てない」悪い循環があったのだ。

 今季の菅野は、防御率1.59に対して援護率は3.69。これは規定投球回数以上の投手では7位と決して高くはないが、それでも菅野には十分な援護だった。

 かつてのプロ野球は「20勝投手になって一人前」と言われたが、分業が進み、先発投手のシーズン登板数が27前後に減った現代のNPBでは、20勝は非常に高いハードルになっている。

21世紀以降のセ投手勝ち星10傑は? 03年上原以外は最多勝獲得

 21世紀以降、パ・リーグでは2013年楽天の田中将大の24勝0敗を筆頭に、2009年楽天の岩隈久志の21勝4敗、2003年ダイエーの斉藤和巳の20勝3敗と20勝投手は3人出ているが、セでは2003年、井川慶の20勝5敗だけだ。

【21世紀以降のセ投手の勝ち星10傑】

2003年 井川慶(神)20勝5敗 29登板
2011年 吉見一起(中)18勝3敗 26登板
2011年 内海哲也(巨)18勝5敗 28登板
2002年 ホッジス(ヤ)17勝8敗 32登板
2002年 上原浩治(巨)17勝5敗 26登板
2004年 川上憲伸(中)17勝7敗 27登板
2006年 川上憲伸(中)17勝7敗 29登板
2008年 グライシンガー(巨)17勝9敗 31登板
2003年 上原浩治(巨)16勝5敗 27登板
2007年 グライシンガー(ヤ)16勝8敗 30登板
2009年 館山昌平(ヤ)16勝6敗 27登板
2009年 吉見一起(中日)16勝7敗 27登板
2013年 小川泰弘(ヤ)16勝4敗 26登板
2016年 野村祐輔(広)16勝3敗 25登板

 2003年の巨人・上原を除いて全員が最多勝のタイトルを取っている。16勝すれば最多勝は「当確」だ。菅野の17勝はすでに21世紀以降のセでは4位タイに相当する。レベルの高い勝利数だ。

 巨人は残り5試合。中5日で投げてきた菅野の残り登板数はあと1試合だが、もう1勝を積み上げて、21世紀以降のセで2位タイの18勝をマークすることができるだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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