県内で初めて鉄製武具出土

 2013年に発掘調査をした佐世保市宮津町の鬼塚古墳の出土品について、市教委は27日、鉄製武具の一部だと判明した、と発表した。県内に500基ほど残る古墳から、鉄製武具が出土したのは初めて。当時の大和政権とのつながりを示す重要な物証とされ、市教委は「意義深い発見」としている。

 出土品を県埋蔵文化財センターなどで調査、分析したところ、鉄製のかぶとやよろいの一部が含まれていた。形状やつくりから国内の中央で作られ、何らかの理由で地方に分配された可能性が高いという。

 鬼塚古墳は直径17メートルの円墳で、大村湾に面した民有地の果樹園にある。ほかに鉄剣や鉄おの、青銅鏡なども出土。いずれも副葬品で、大村湾の海上交通で活躍した豪族が埋葬されたとみられている。

 発掘調査は、石室の保護を目的として内容確認のため13年7月から2カ月間実施。出土品などから古墳は425~450年前後に築かれたものであることも新たに分かった。18年度末にも最終的な調査報告を取りまとめる予定。

 調査を担当した学芸員の松尾秀昭さん(38)は「県北に残る古墳は分かっていないことも多いが、今回の発見は一地域だけではなく、西日本、国内の歴史を考える上でも意義がある」と話している。

   ◇   ◇   鉄製武具の一部など10種類の出土品は29日から1カ月間、島瀬町の島瀬美術センター5階考古展示室で一般公開する。問い合わせは市教委社会教育課(電0956・24・1111、内線3127)。

© 株式会社長崎新聞社