阪神が誇るNPB史上初60試合登板5人組のすごさ、全員揃って防御率3点以下

阪神は9月27日のDeNA戦で延長12回にドリスが登板し、1回を無失点に抑えた。これがドリスにとって今季60回目の登板で、NPB史上初めて5人の投手が60試合以上に登板した。

【表】阪神60試合登板以上の5選手

1956年の西鉄60試合トリオは“神代の数字”

 阪神は9月27日のDeNA戦で延長12回にドリスが登板し、1回を無失点に抑えた。これがドリスにとって今季60回目の登板で、NPB史上初めて5人の投手が60試合以上に登板した。

○阪神の60登板5人組
桑原謙太朗 65登板(4勝2敗0S 37H 防御率1.55)
岩崎優 64登板(4勝1敗0S 15H 防御率2.10)
高橋聡文 61登板(6勝0敗1S 20H 防御率1.70)
マテオ 61登板(7勝4敗0S 35H 防御率2.84)
ドリス 60登板(4勝4敗35S 5H 防御率2.55)

 生え抜きは岩崎だけ。これに移籍組の桑原と高橋、外国人のマテオとドリスが加わって達成された。クローザーはドリスで、他の4人はドリスにつなぐセットアッパーだ。防御率は5人全員が3.00を割る好成績。今年の阪神の最大の強みだと言えよう。

 NPBで1球団3人以上の投手が60試合以上登板したケースは、今年を含めて24回ある。その最初は1956年の西鉄ライオンズだが、内容は今では考えられないものだ。

島原幸雄 74登板(25勝11敗 防御率1.35)
西村貞朗 62登板(21勝7敗 防御率1.71)
稲尾和久 61登板(21勝6敗 防御率1.06)

 伝説の大投手、稲尾和久をはじめとする3投手が、先発と救援の二役で大車輪の活躍をし、揃って20勝以上で防御率は1点台。先発、救援の機能が分化する以前の”神代の数字”といえる。

阪神は過去5度も60試合トリオを輩出

 4人の投手が60登板したケースは、ごく最近でも2例ある。

〇2015年 楽天
福山博之 65登板(2勝3敗1S 22H 防御率2.76)
松井裕樹 63登板(3勝2敗33S 12H 防御率0.87)
青山浩二 61登板(4勝5敗0S 31H 防御率2.81)
武藤好貴 60登板(4勝4敗1S 8H 防御率4.39)

〇2016年 巨人
マシソン 70登板(8勝4敗1S 41H 防御率2.36)
田原誠次 64登板(4勝3敗0S 14H 防御率3.46)
澤村拓一 63登板(6勝4敗37S 4H 防御率2.66)
山口鉄也 63登板(1勝6敗1S 19H 防御率4.88)

 2015年の楽天は松井裕樹、16年の巨人は澤村拓一というクローザーの前に3人のセットアッパーがいた図式だ。ただ両方のケースともに、4人のうち防御率4点台が1人ずついる。投球内容が良いとは言えない投手も含まれていたのだ。今季の阪神の「5人そろって防御率3点以下」という記録が、いかに傑出しているかがわかるだろう。

 阪神は1982年(池内豊、山本和行、福間納)を皮切りに、2005年(藤川球児、ウィリアムス、久保田智之)、2007年(久保田智之、藤川球児、ウィリアムス)、2008年(久保田智之、渡辺亮、藤川球児)、2010年(久保田智之、西村憲、渡辺亮)と過去に5回、60登板トリオを記録している。今年を含め、60試合登板3人以上を6回記録、これはNPB球団で最多だ(2位は5回の巨人)。2005年、2007年の阪神は「JFKトリオ」と言われ、勝利の方程式を形成した。阪神は、最も救援投手を活用している球団だと言えよう。

 ただそんな阪神でさえも、2年連続で同じ3人以上で60試合登板を記録したことはない。今年の5人も、登板過多が気になるところだ。

 阪神の5人組は、来年も元気に投げ続けることができるだろうか?(広尾晃 / Koh Hiroo)

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