「首都クラブ」が元気のない世界のサッカーリーグ

世界中のどのリーグを見回しても、首都を本拠地とするクラブには名門が多い。

レアル・マドリー、アトレティコ・マドリー、チェルシー、アーセナル、ローマ、PSGは毎年のように優勝争いを演じており、国内外で人気のチームだ。

また、トップリーグ以外でもアムステルダムをホームとするアヤックスはエールディヴィジで最多の優勝回数を誇っており、首都を本拠地とするクラブが最も成功しているというケースはかなり多いと言える。

しかしその一方で、首都クラブでありながら優勝から見放されていたり、名門と呼ぶにはタイトルが足りていないチームも確かに存在する。

そこで今回は、首都クラブが元気のないサッカーリーグまとめてみることにしよう。

ドイツ

首都:ベルリン
主なサッカークラブ:ヘルタ・ベルリン(1部)、ウニオン・ベルリン(2部)など
1部リーグの優勝経験:なし(ブンデスリーガ創設後)

ドイツ最大のクラブと言えば、誰もがバイエルンの名を挙げるだろう。

その他にも名門は存在し、1970年代に3連覇を成し遂げたボルシアMGや降格知らずのハンブルガーSV、また近年ではドルトムントも輝かしい成績を残している。

しかし、1963年にブンデスリーガが発足してからというもの、ベルリンのクラブが優勝したことは一度もない。

1920から1930年にかけてヘルタ・ベルリンが国内リーグを2度制覇しているが、ドイツほどの大国で80年以上にわたって首都クラブ優勝していないというのは驚きである。

日本

首都:東京
主なサッカークラブ:FC東京(1部)、東京ヴェルディ(2部)、町田ゼルビア(2部)など
1部の優勝経験:なし(Jリーグ創設後)

日本のトップリーグであるJ1(旧Jリーグ)もドイツ同様、首都のチームが優勝していないコンペティションだ。

最多優勝は鹿島アントラーズの8回で、以下横浜F・マリノスとジュビロ磐田、サンフレッチェ広島が3回で並ぶ。

一応東京ヴェルディは1リーグ時代にJリーグを2度も制覇しているが、この時のホームタウンは川崎市であり、チーム名も「ヴェルディ川崎」だった。

現在のJ1に所属する唯一の首都クラブはFC東京だが、リーグカップや天皇杯こそ優勝しているが、国内リーグを制した経験はない。

アメリカ

首都:ワシントンDC
主なサッカークラブ:DCユナイテッド(1部)など
1部リーグの優勝経験:DCユナイテッドが4回(MLS創設後)

MLS創設後、1996年、1997年、1999年、2004年にそれぞれ国内制覇を成し遂げたDCユナイテッド。

1998年にはCONCACAFチャンピオンズカップを制し、北中米・カリブ界のチャンピオンにも輝いたが、リーグ優勝からは10年以上も見放されている。

「神童」と呼ばれたフレディ・アドゥが14歳当時にプロデビューしたのがこのチームで、2003年にはあのフリスト・ストイチコフも在籍した。

2014年にはイースタン・カンファレンスで1位になるも、優勝を争うプレーオフでは1回戦(カンファレンス準決勝)で敗退している。

ブラジル

首都:ブラジリア
主なサッカークラブ:ブラジリア(州リーグ)など
1部リーグの優勝経験:なし(ブラジル全国選手権創設後)

ブラジル全国選手権の優勝回数はパウメイラス、サントス、サンパウロ、コリンチャンスと上位4つをサンパウロ勢が独占し、これに「4大クラブ」が有名なリオ勢などが続いている。

では首都ブラジリアのクラブはどうかといえば、優勝はおろか、2000年以降はガマ、ブラジリエンセの2クラブが短期間に1部リーグに所属したのみとなっている。

ブラジリアは1960年に「行政の首都」として人工的に作られた計画都市だ。元々は荒涼とした大地で人も住んでおらず、大衆に好まれるサッカーが発達する土壌ではなかったのだ。

中国

首都:北京
主なサッカークラブ:北京国安(1部)、北京控股(2部)、北京人和(2部)など
1部リーグの優勝経験:北京国安が1回(中国超級リーグ創設後)

超級リーグの発足後は、上位でのフィニッシュが常連だった北京国安。2009年には国内優勝を果たし、FAカップを3度優勝した経験を持つ名門だ。

しかし、2010年以降は完全に広州恒大の後塵を拝しており、強大なライバルに6連覇を許している。

いわゆる“爆買い”でフレデリック・カヌーテやレナト・アウグスト、ジョナタン・ソリアーノらを獲得するも、補強選手のネームバリューでも他クラブに劣る印象だ。

なお、現在チームを率いるのはレッドブル・ザルツブルクで旋風を巻き起こしたロジャー・シュミット。

トルコ

首都:アンカラ
主なサッカークラブ:ゲンチレルビルリー(1部)、オスマンルスポル(1部)、アンカラギュジュ(2部)など
1部リーグの優勝経験:なし(シュペル・リギ創設後)

過去61回のリーグ戦で、ガラタサライ、フェネルバフチェ、ベシクタシュの3クラブが実に54回も優勝しているシュペル・リギ。

サッカーではイスタンブール勢が圧倒的な強さを誇るが、トルコの首都はイスタンブールでない。アナトリア半島にあるアンカラだ。

アンカラにはゲンチレルビルリーやオスマンルスポル、アンカラギュジュといったクラブが存在するが、未だリーグ制覇を経験したチームはない。

なお、オスマンルスポルは瀬戸貴幸が在籍したことで知られるチームだ。

スイス

首都:ベルン
主なサッカークラブ:ヤングボーイズ(1部)、ブライテンライン(3部)、ケーニッツ(3部)など
1部リーグの優勝経験:ヤングボーイズが11回、ビール・ビエンヌが1回

トルコ同様、首都が間違われがちのスイス。最大の都市はチューリッヒだが、首都はベルンだ。

そんなベルンをホームとする強豪は、久保裕也が在籍したことで知られるヤングボーイズ。

リーグ優勝11回を誇るスイスの名門だが、最後に国内リーグを制したのは1985–86シーズンのこと。それどころか、カップ戦も合わせると実に20年近くに渡ってタイトルから見放されている。

近年ではバーゼルが圧倒的な強さを誇っており、直近10年で9度のリーグ優勝を経験。しかしそれでも、同国で最も優勝しているのはグラスホッパーの27回だ(バーゼルは20回)。

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