ロッテ不遇のシーズンに現れた来季につながる希望、2年目左腕が見せた輝き

29日の試合はプロ2年目の成田投手がプロ初先発登板を果たし、大卒ルーキーの佐々木投手がその後を受けるというフレッシュなリレーが実現。成田投手は敗戦投手となってしまったものの、佐々木投手ともども見応えのあるマウンドだった。

ロッテ・成田翔【写真:(C)PLM】

2年目左腕の成田、プロ初登板で初ホールドをマーク

 9月29日、本拠地でオリックスに敗れ、球団最多のシーズン86敗目を喫した千葉ロッテ。しかし、9月は今季初の月間勝ち越しを決め、来季に向けた明るい話題も増えてきた。29日の試合はプロ2年目の成田投手がプロ初先発登板を果たし、大卒ルーキーの佐々木投手がその後を受けるというフレッシュなリレーが実現。成田投手は敗戦投手となってしまったものの、佐々木投手ともども見応えのあるマウンドだった。

 小さな身体で躍動し、秋田商業高校時代は「東北のドクターK」として名を馳せた成田投手は、プロ2年目の19歳だ。憧れの存在として、母校の先輩であり共通点の多い東京ヤクルトの石川投手を挙げている。今季ファームでは19試合に登板し、62回、3勝3敗、防御率3.05という成績。フレッシュオールスターゲームにも出場し、1回を2奪三振、無失点に抑えた。初の1軍昇格を果たしたのは9月6日で、すぐさまプロ初の1軍登板機会が巡ってきた。

 メットライフドームの埼玉西武戦。延長10回裏。チームが1点を勝ち越した直後の大事な場面からの登板だった。「びっくりした気持ちもあったんですけど、落合さん(英二投手コーチ)が選んでくれたので、思い切って腕を振って投げていこうと思いました」と、先頭の秋山選手を外角の直球で左飛に打ち取る。しかし、続く源田選手に四球を与えると、森選手に安打を浴び、1死一、二塁となったところで交代。「かなり緊張しました」という1軍マウンドだったが、後を受けた田中靖投手が抑えたことでチームは逃げ切り、プロ初ホールドをマークした。

 その日のヒーローインタビューで、「このピッチングをしっかり反省して次の登板に向けて調整していけるように、これより良いピッチングができるように頑張っていきたいと思います」と、緊張した面持ちで語った19歳。そして、その言葉通り、プロ初先発登板となった9月29日の投球には、確かな成長の跡が窺えた。

プロ初先発ではNPB通算10万号を被弾で黒星も、3回連続3者凡退を披露

 爆発力のあるオリックス打線を相手に、6回で93球を投げ、被安打5、奪三振5、失点4。落ち着いた立ち上がりを披露し、2回からは3イニングス連続で3者凡退に抑えた。失投を確実に仕留められ、T-岡田選手からプロ野球公式戦通算9万9999号、マレーロ選手から10万号のメモリアル弾を浴びてしまったが、キレのある直球を主体として、打者のタイミングを外すチェンジアップが光った。

 指揮官も、成田投手のテンポの良さと「攻める姿勢」を高く評価。この日は、被弾したことも含めて、収穫の多いマウンドになったことだろう。女性ファンが選ぶ「2017マリーンズ・イケメン5」にランクインするなど、甘いマスクですでに人気を集めている成田投手だが、これからはその左腕でもファンの心をつかんでくれそうだ。

 今季の千葉ロッテは成田投手だけでなく、新人投手が奮闘している。開幕から10試合連続無失点を記録した有吉投手は1軍ブルペンにすっかり定着。チーム2番目となる52試合に登板し、2勝5敗16ホールド1セーブ、防御率2.92だ。先発陣では、後半戦からローテーション入りした酒居投手が4勝1敗と、安定感のある投球で存在感を見せ付けている。

 苦しむチームを立て直すには若い力が必要だ。来季を見据えた戦いの中、どれだけアピールすることができるか。若武者の成長が、今から楽しみでならない。(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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