熱延ミル、メキシコで相次ぎ新設=2020年稼働 ミッタル=250万トン、テルニウム=370万トン

 メキシコで先月28日、熱延ミルの新設計画が相次ぎ発表された。アルセロール・ミッタル(AM)は10億ドル(約1100億円)で年産能力250万トン、テルニウムは11億ドル(約1200億円)で370万トンの熱延ミルをそれぞれ設け、共に2020年下期の稼働を予定している。

 同国でホットを造るのはテルニウム・メキシコやアームサ(AHMSA)などと数少ない。AMメキシコはラサロカルデナス製鉄所で高炉1基とDRIや電炉を操業しているが鋼板では下工程がなく半製品・スラブのみを造っている。

 AMメキシコは年産能力が530万トンで、現在の年産量は400万トン。今の販売品種は半分以上をスラブが占めているが、一定のスラブをホットへ置換し、プロダクトミックスの改善を通じてラサロカルデナスをフル稼働させたい考え。鉄鉱石の使用増に伴い鉱山事業でもメキシコでの追加投資を検討していく。

 熱延ミル完成後、AMメキシコの生産内訳はホット250万トン、棒鋼・線材が180万トン、スラブ100万トンとなる予定。AMの北米事業で使うためスラブの生産も残るが、社外への販売は大幅な減少が見込まれ、国際スラブ市場は調達難が深刻化しそうだ。

 AMが非自動車向けを念頭にホットを造るのに対し、テルニウム・メキシコはティッセン・クルップから買収したブラジル高炉、アトランティコ製鉄(CSA、現テルニウム・ブラジル)の高級スラブを使い車向け含めホットを増産する。新日鉄住金との車用鋼板合弁事業、テニガルでも原板の自給化を視野に入れていきそうだ。

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