岐本金属、美浜シッピングヤードの専用バースと隣接地を取得 鉄スクラップ以外も扱い品目拡大へ

 鉄スクラップヤード業者、岐本金属(本社・東京都江東区、社長・宮口幸治氏)はこのほど、美浜シッピングヤード(千葉市美浜区)の専用バースと隣接地を取得した。これまで賃貸だったバースを自社所有としたことで、港を365日24時間フル活用できる体制を完全に整備。鉄スクラップ以外にも扱い品目を拡げて収益安定化を図る。同バースは最大5万3千トンの船が接岸できるが、要望があれば港を浚渫して6万~7万トン級の船にも対応。鉄スクラップをベースに多品目を扱う国内最大級の多目的バースとして存在感を発揮していく考え。

 美浜シッピングヤードは2009年2月に開設された。専用バースは長さ215メートル、幅34メートル、水深12メートル。

 13年には隣接地を借り受け、ヤードを拡張。今回これまで賃貸だったヤード部分(1万9641平方メートル)と専用バース(7146平方メートル)の土地について9月7日に売買契約を締結し、29日付で引き渡しを完了。全敷地面積の5万224平方メートルが自社所有となった。港の名称は「岐本金属美浜港」とした。

 宮口社長は「港を所有するのが長年の夢だった。当地に来て今年12月で10年だが、想定以上に早く取得でき、非常に幸運だった。輸入も含め多品目の大型船に対応した多目的バースとして活用していきたい」と語った。

 同ヤードの主な加工処理設備は1250トンと1千トンのマウントシャー各1基(富士車輌製)のほか、国内最大級のラバンティシャー1基を備える。ヤードの在庫能力は、扱い量の約8割がHS。従業員は31人。

 同社は現在、韓国や台湾、ベトナム向けのスクラップ輸出を手がけるが、今後は米国やインドなど遠方向けで3万~3万5千トン級の船積みに挑戦したいとする。一方、鉄スクラップは市況変動が激しいことに加え、将来的には中国の輸出国転換による競争激化が見込まれる。このため、同社では鉄スクラップ以外の商品を扱う異業種テナントを募り、収益を安定化していく。

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