【新日鉄住金グループ企業の〝今〟(1)】〈大阪製鉄〉国内外で成長戦略推進 インドネシア合弁好調

 大阪製鉄は、山形鋼、溝形鋼など一般形鋼大手の電炉メーカー。

 堺(大阪府堺市)、大阪恩加島(大阪市大正区)の2工場で山形鋼・溝形鋼など一般形鋼と、軽軌条、エレベータ・ガイドレールを、西日本熊本工場(熊本県宇土市)で異形棒鋼と小形形鋼をそれぞれ生産するほか、子会社の日本スチール(大阪府岸和田市)で平鋼・角鋼、さらに2016年3月に買収して連結子会社とした東京鋼鉄(栃木県小山市)で一般形鋼をそれぞれ生産している。17年3月期の連結販売量は約95万トン。

 今年1月にはインドネシアで、現地の鉄鋼大手クラカタウ・スチールとの合弁で設立したクラカタウ・オオサカ・スチール(KOS)が操業を開始。インドネシアの送電用鉄塔などインフラ整備向けに一般形鋼、異形棒鋼、平鋼を年産50万トンの能力で順次生産拡大している。

 新日鉄住金グループにおける一般形鋼分野の生産販売を担うとともに、今後、物流・素材調達・採用などでグループ・シナジーを高めていく意向だ。

 大鉄はこの数年、(1)国内事業の再編および生産最適化による体質改善(2)M&Aによる産業構造改善および成長戦略の展開(3)海外進出によるグローバルな成長戦略展開―など経営基盤強化策を矢継ぎ早に推進してきた。

 体質改善策では14年3月、子会社で北海道の異形棒鋼メーカー、新北海鋼業を解散。

 さらに16年3月には、大阪恩加島工場の電気炉など製鋼工程を休止して堺工場に集約、生産最適化を図った。

 成長戦略では16年3月に、三井物産系の電炉形鋼メーカー、東京鋼鉄を買収して連結子会社とした。一般形鋼の東西体制を確保したことで、中小形形鋼で国内トップシェア(推定40%)となり、結果的に市況の安定化や収益改善につなげていく形をつくった。

 インドネシアのKOSはグローバル展開による成長戦略の第一歩。日本の普通鋼電炉メーカーのグローバル展開は、大和工業、共英製鋼の2社が先行してきたが、これに大鉄が加わった。

 大鉄は、1978年に当時の大鉄工業と大和製鋼が合併して発足。90年に新日本製鉄(現新日鉄住金)の子会社となった。その後95年に西日本製鋼(現西日本熊本工場)を吸収。98年に当時の恩加島第二圧延工場と津守工場を集約して堺工場開設。99年に新日鉄子会社の関西ビレットセンターを吸収して堺工場での製鋼圧延一貫化を図った。2005年には日本スチールを完全子会社とした。その後は新北海鋼業解散、大阪恩加島・製鋼工程の堺集約、東京鋼鉄買収、インドネシア・KOSの操業開始と続く。

 今年6月、内田純司前社長からバトンタッチした岩崎正樹社長は「(大鉄は)一般形鋼メーカーとして他にはない設備力と、ピカリと光る高い技術力を持つ会社。東京鋼鉄の子会社化で全国5拠点での安定供給体制を確保した。インドネシア・KOSも合わせ、より高いシナジーを発揮していきたい」とするとともに、「何事にもまじめに一所懸命に取り組み、現場・現物で創意工夫して無駄をつくらない『大鉄スピリット』をさらに磨いていこう」とグループ全体に声を掛けている。(この連載は毎週水曜日に掲載します)

企業概要

 ▽本社=大阪市中央区

 ▽資本金=87億円(新日鉄住金66・3%=議決権割合)

 ▽社長=岩崎正樹

 ▽売上高=621億3500万円(17年3月期連結)

 ▽主力事業=普通鋼電炉(一般形鋼、異形棒鋼、平鋼ほか)

 ▽従業員=870人(連結)402人(単独))

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