新日鉄住金ソリューションズ、AI研究加速へ組織新設

 新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL、社長・謝敷宗敬氏)は3日、人工知能(AI)を活用したIT(情報技術)事業を強化するため、システム研究開発センター(横浜市)内に「AI研究開発センター」を開設したと発表した。新組織は新日鉄住金とも連携。最新AIの活用が進めば製鉄事業の競争力強化にもつながりそうだ。

 システム研究開発センターでは最適化手法や深層学習(ディープラーニング)など複数グループで個別にAIに関する研究を進めている。新組織の設置によりAI関連の研究を組織横断的に進め、AI研究を加速する。

 新組織には全体の3分の1にあたる約40人の研究者が兼務で所属し、必要に応じて増員も検討する。センター長は馬場俊光氏が務める。

 新組織は新日鉄住金グループの競争力強化を後押しする上でも大きな役割を担いそうだ。新日鉄住金向けの取り組みでは例えば、機械学習と、あらゆる機器をネットでつなぐIoTを組み合わせ、コークス炉の築炉の作業分析を進めている。ヘルメットに取り付けたセンサーで築炉作業員の3次元位置情報を収集し、機械学習で収集データを分析。これをもとに作業の改善点を短期間で洗い出す。すでに従来の生産性改善手法「IE(インダストリアル・エンジニアリング)」に比べ手間がかからず改善をいち早く実行に移せることを確かめた。

 NSSOLは第2次AIブームの1980年代に当時の新日鉄の高炉操業支援にAIシステムを実装するなど国内でも先進的な技術検証に取り組んできた。システム研究開発センターの齋藤聡所長は3日、「労働人口の減少や生産現場の世代交代を背景に日本の産業界では高度情報処理システムが必須になる。その軸にAIを据えることになる」と述べ、製造業をはじめとする幅広い業種向けのサービスを念頭に、新組織でAI研究を加速する考えを示した。

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