菊池雄星、史上8人目の投手5冠に届かずも、データが示すリーグNO.1の実力

西武の菊池雄星は、10月3日の楽天戦で8回を自責点1の好投で16勝目を挙げ、勝ち星でソフトバンクの東浜巨と並んだ。東浜は9月24日に腰の張りを訴えて登録抹消されているので、最多勝はほぼ確実と見られる。

西武・菊池雄星【写真:編集部】

3日の楽天戦で8回を自責点1で16勝目、防御率は驚異の1点台

 西武の菊池雄星は、10月3日の楽天戦で8回を自責点1の好投で16勝目を挙げ、勝ち星でソフトバンクの東浜巨と並んだ。東浜は9月24日に腰の張りを訴えて登録抹消されているので、最多勝はほぼ確実と見られる。

 今季の菊池は抜群の安定感を見せている。8月には審判から「2段モーション」の警告を受けたが、その後フォームを修正し、先発投手の最高の栄誉とされる「投手5冠」も期待された。

 投手5冠各部門の菊池の成績は次の通りだ。

勝利数 16(1位タイ)
完封数 4(1位)
勝率 .727(東浜の.762に次ぐ2位)
奪三振 217(1位)
防御率 1.97(1位)

 菊池はすでにポストシーズンに備えて登録抹消されている。5日の最終戦には登板しないので、勝率では東浜に及ばない。そのため、惜しくも史上8人目となる「投手5冠」には届かなかった。

 さらに、奪三振数では楽天の則本昂大が214個で2位につけている。楽天の残り試合はNPB最多の5試合もあり、則本は8日に先発が予定されているため、奪三振数で菊池を抜く可能性は高い。となれば、投手4冠も厳しいところだろう。

 なお、則本は現在14勝のため、あと2試合に先発して2勝すれば、16勝で菊池と東浜に並ぶことになるが、楽天はポストシーズンを控えているため、無理をさせることはないようだ。

2008年ソフトバンク斉藤以来の投手5冠も期待されたが…

 2008年のソフトバンク斉藤和巳以来の「投手5冠」を逃し、どうやら「投手3冠」で落ち着きそうな菊池だが、今季パ・リーグNo.1の先発投手であることは疑う余地はない。それは、以下のパ・リーグ投手の各種指標5傑を見ても明らかだ。

〇PR(PitchingRun)投手の総合指標:(リーグ平均防御率-投手の防御率)×投球回で算出
1.菊池雄星(西)320.91
2.則本昂大(楽)185.06
3.サファテ(ソ)170.94
4.東浜巨(ソ)166.40
5.岸孝之(楽)155.16

〇WHIP(1イニング当たりの走者数 規定投球回数以上)
1.菊池雄星(西)0.91
2.岸孝之(楽)1.02
3.野上亮磨(西)1.055
4.則本昂大(楽)1.063
5.美馬学(楽)1.08

〇被打率(規定投球回数以上)
1.菊池雄星(西).184
2.則本昂大(楽).2189
3.岸孝之(楽).2190
4.バンデンハーク(ソ).229
5.東浜巨(ソ).233

QS(6回以上投げて自責点3以下の試合数)
1.菊池雄星(西)23
2.岸孝之(楽)20
3.則本昂大(楽)17
3.バンデンハーク(ソ)17
3.金子千尋(オ)17

 失点の少なさでも、走者の少なさでも、被安打数の少なさでも、菊池はすべてリーグ1位に輝いている。しかも、2位以下を大きく引き離していることが分かるだろう。まさに、菊池は今季パ・リーグNo.1の投手だと言っていい。

 今季は長くチームを支えてきた岸孝之が、ライバル楽天に移籍。菊池に掛かる負担が大きくなったが、その中で昨年よりも成績を大きくアップさせた。文字通り、エースと呼ぶにふさわしい活躍だった。

 MLB挑戦も視野に入れているという菊池。来季もさらなる飛躍を遂げることが期待される。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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