好評オリックスの選手プロデュースメニュー、選手のこだわりと調理長の思い

レギュラーシーズンは最終盤を迎え、14日からはクライマックスシリーズ(CS)が始まる。オリックスは3年連続Bクラスと不本意なシーズンを送ったが、本拠地・京セラドーム大阪で販売された選手プロデュースメニューは好評で、応援に訪れるファンを楽しませた。

オリックス・安達がプロデュースした「アダッチ・フォー」【写真:篠崎有理枝】

丸岡調理長が春キャンプで選手にアンケート、細部を相談しながらメニュー化

 レギュラーシーズンは最終盤を迎え、14日からはクライマックスシリーズ(CS)が始まる。オリックスは3年連続Bクラスと不本意なシーズンを送ったが、本拠地・京セラドーム大阪で販売された選手プロデュースメニューは好評で、応援に訪れるファンを楽しませた。

 選手プロデュースメニューは5年ほど前から始まった。当初は年間3、4種類だったが、年々その数は増え、今では55種類に上る。継続されるメニューもあるが、毎月数々の新規メニューが登場し、頻繁に来場するファンでも楽しみは尽きない。

 メニュー考案するのは、球場グルメを担当する調理長の丸岡耕一氏。毎年春季キャンプを訪れ、選手に好きな食べ物などのアンケートを取り、実際に調理できるかなどを含め、選手と相談しながら作り上げる。

「メインのメニューは聞いていますが、細かい具材など、聞いていないところで選手の食べられないものが入ってしまうことがあります。『これは苦手です』と言われれば、それを変えてメニューを完成させます。出来上がったメニューを実際に試食してもらって『おいしい』と言ってもらえたら、商品化します」

 メニューに一番こだわりを見せたのは、西勇輝投手だ。昨年発売された「ゆうちゃんのえび天冷やしうどん」には「子供も食べやすいように、味付けをもう少し子供用にして欲しい」というリクエストがあった。また、当初は海老天のみだったが「温玉を入れてほしい」という要望があり、今季からは温玉入りの新バージョンで販売した。

安達プロデュースの「アダッチ・フォー」に込められた調理長の思い

 1日10食限定で、通常メニューより豪華な内容の「プレミアム選手プロデュースメニュー」も販売されている。9、10月に販売されている吉田正尚外野手プロデュースの「正尚のAMAGING-DON」は2800円と割高だが、ここまで毎試合完売しており、早い時は10分ほどで売り切れる人気商品だ。毎月ボリュームたっぷりなプレミアムメニュー。4月に販売された金子千尋投手プロデュースの「ネコのG・R・B・D(ゴールデン・ロースト・ビーフ・丼)」に込められたこだわりについて、丸岡氏はこう話す。

「ローストビーフが300グラムほど乗っていたんですが、実際に試食した金子投手が食べきれず「『シェアして食べて下さい』と書いてください」と、メニュー表記にもリクエストがありました」

 数多くの選手プロデュースメニューの中で、特に女性に人気なのは、安達了一内野手プロデュースの「アダッチ・フォー」だ。昨シーズンも販売されたメニューを、安達自身が気に入った。「今シーズンもぜひ販売してほしい」という本人のリクエストを受け、急遽販売されることになったという。潰瘍性大腸炎を患っている安達だが、このフォーには、安達の体調を気遣う丸岡さんの思いが込められている。

「安達選手の体調を考え、昨年のものから具材を変え、体にいいと言われているクコの実を入れ、肉もささみを使用して、ヘルシーにしました。これは選手の要望ではなく、我々が考えました」

 選手たちがファンのことを考えたこだわりのメニューだけでなく、調理長が選手の体調に配慮したメニューも並んだ今シーズンの選手プロデュースメニュー。チームはイチローを擁して日本一に輝いた96年以来、12球団で最も優勝から遠ざかっているが、ファンは球場に足を運び、熱心に応援してくれる。そんなファンを喜ばせるためにも、来季も魅力的なメニューを提供していくつもりだ。(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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