かつての“恋人”!? Dバックスが地区Sの「救援・前田」を警戒「タフな存在」

2001年以来のワールドシリーズ制覇を狙うDバックスのデリック・ホール球団社長は、単独インタビューでドジャースの日本人右腕コンビ、ダルビッシュ有、前田健太両投手の実力を称賛。特にポストシーズンでブルペンに回った前田に警戒を強めている。

ダイヤモンドバックスのホール球団社長【写真:編集部】

レギュラーシーズンではドジャースに勝ち越し「我々にはチャンスがある」

 ドジャースは6日(日本時間7日)からのナ・リーグ地区シリーズで、ロッキーズとのワイルドカードゲームを11-8で制したダイヤモンドバックスと対戦する。2001年以来のワールドシリーズ制覇を狙うDバックスのデリック・ホール球団社長は、単独インタビューでドジャースの日本人右腕コンビ、ダルビッシュ有、前田健太両投手の実力を称賛。特にポストシーズンでブルペンに回った前田に警戒を強めている。

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 ワイルドカードゲームでは本拠地チェイス・フィールドに豪打を誇るロッキーズを迎えたDバックスは、圧倒的な打線の破壊力を見せつけて、見事に撃破した。超満員の大観衆は勝利直後に「ビート・LA!(ロサンゼルスをやっつけろ)」の大合唱。今季、両リーグ最高勝率を誇る西海岸の名門撃破へ向けて、勢いに乗った。

 高揚感に支配されるアリゾナで、ホール球団社長もまたドジャース戦へ視線を向けていた。

「我々には(リーグ優勝決定戦に進む)チャンスがあると思う。なぜなら、我々はドジャースとのマッチアップはすごく良かったんだ。レギュラーシーズンでは18戦11勝。相性は悪くなかったんだよ」

 ナ・リーグ西地区を104勝で制したドジャースの後塵を拝したDバックス。93勝で2位となり、ワイルドカードに回ったが、直接対決では優位に立っていた。

 メジャー最強左腕のクレイトン・カーショー、若き強打者コーリー・シーガー、コディ・ベリンジャーら実力者揃いのドジャースで、ホール社長は野茂英雄氏在籍時に広報部長を務めていた因縁もある。そして、親日家のチーム首脳は日本人投手コンビにも警戒している。

かつては前田獲得へ向けて熱心にスカウティング「彼はブルペンでもタフな存在」

「ダルビッシュは熟練された投手だ。とても才能に溢れている。多くの経験を持っている。彼を破るのは簡単ではない。とても印象的だ。そして、我々はいつでもケンタ・マエダのことが好きだった。彼のスカウティングを続けていた。マエダも印象的なパフォーマンスを見せている」

 ホール社長はダルビッシュとともに“心の恋人”だった前田の名前を挙げた。2015年8月には、クラブ幹部を連れ立ってマツダスタジアムのバックネット裏で広島時代の前田の先発試合を視察。「マエダは経験豊富です。制球も素晴らしい。ピンチを切り抜ける術を持っている。走者を背負っても全くパニックになりませんでしたね」と当時、高い評価を与えていた。

 広島からポスティングシステム(入札制度)でのメジャー挑戦が決まった2015年オフには争奪戦に参戦する方針を固めていたが、ドジャースから当時フリーエージェント(FA))となっていた右腕ザック・グリンキー投手をメジャー史上最高平均年俸(3442万ドル=約38億7500万円)のメガオファーで獲得したために、強化資金が一気に枯渇。前田獲得から撤退した経緯があった。

 ホール社長も、獲得が実現すればローテーションの軸と期待していた前田だが、ポストシーズンではカーショー、リッチ・ヒル、ダルビッシュ、アレックス・ウッドと実力者揃いの先発投手陣がいるドジャースでブルペンに回ることになった。ただ、むしろ「リリーフ前田」に最大限の注意を払っている。

「マエダはポストシーズンに先発できないが、彼はブルペンでもタフな存在だと思う。彼は欲しい時に三振が取れる。必要な時にはゴロを打たせてダブルプレーを取れる技術があるんだ。彼がブルペンから出てくるということは、ドジャースにはいい武器があるということを意味する」

 好調時には低めにボールを集め、スライダーなど切れ味鋭い変化球で空振りとゴロの山を築く前田。広島時代から補強候補としてスカウティングを続けていたDバックスは、救援に回ったかつての“恋人”の実力を高く評価している。(Full-Count編集部)

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