プラント配管加工・工事業の「東亜工業」、インドネシア拠点が稼働 日系、地場双方のプレハブ配管需要捕捉

 プラント関連の各種配管・土木・設備工事およびメンテナンス業を手掛ける東亜工業(本社・東京都港区、社長・福本陽一氏)のインドネシア現地法人「東亜テクノロジ・インダストリーズ・インドネシア(TOA Teknologi Industries Indonesia=TOA・TII)」が稼働を開始した。日系、地場双方のエンジ会社が手掛けるプラント向けのプレハブ配管の需要を捕捉していく。

 東亜工業は1949年1月設立。国内で、化学メーカーのクラレをメーンにプラント建設工事、メンテナンス、機器据付、配管工事を主力事業としている。メンテナンスは各種回転機の保守点検、各種タンク類や熱交換器の整備などを行う。配管プラント建設では新潟事業所(新潟県胎内市)でプラントエンジ会社、ミルメーカーを顧客として、配管設計、材料調達、機器設置、配管製作取付などを手掛ける。LNG基地やエネルギー・ケミカルプラントの配管工事が得意分野だ。

 インドネシア進出にあたっては、(1)将来的に外国人労働者を含めた配管工事・メンテナンスを担う現場技術者の確保(2)各種プラントが東南アジアを中心に建設される状況が続いていること―などを総合的に考慮した。「インドネシアの国内プラント配管はまだ品質面で脆弱で、ビジネスチャンスがあると判断。大手エンジメーカーは進出しているが、プレハブと工事を一貫して対応できる企業はまだまだ少なく、日本での経験が生かせる」(福本社長)ことなども決め手となった。

 4年ほど前からFS(市場化調査)を開始。当初はローカル企業とのタイアップでの進出を模索していたが諸条件で折り合いがつかず、独資で進出することとなった。

 TOA・TIIの工場は、ジャワ島にあるインドネシア第二の都市スラバヤから車で1時間ほど南下したパスルアンのピエール(PIER)工業団地にある。東亜工業にとっては初めての海外拠点。現地にはパナソニックやヤマハなどの日系企業も進出している。

 敷地面積7740平方メートル、1500平方メートルの建屋3棟を居ぬきで賃貸した。昨年12月8日に登記を完了し、今年8月に竣工式を行った。

 現在、営業ライセンスは「プレハブ配管」のみを取得。切断機・開先機・溶接機などからなるラインを設置しており、もう1ライン増強できるスペースがある。日本からの駐在員は4人。現場技術者は現地で技量確認を目的としてプレハブ工事の最小単位である6人を雇用し、現在溶接や配管工の技能訓練を続けている。今後、技量確認を終え次第、受注状況を踏まえて速やかに増員を図る予定。

 すでに受注活動は始めている。「ただ、当初見込んでいた日系企業が手掛ける電力プラントの工事案件が遅れ気味に推移。現在は日系と地場双方の案件捕捉に注力している」(福本社長)。スラバヤ地区には日系企業も参画するタングーLNGプロジェクトの開発案件があり、同プロジェクトの6~7割はプレハブ配管での施工が見込まれている。バルブステーションなどの案件も含めて、開発動向を注視していく。

 これまで国内で培ったノウハウをもとに、各工程の専業化・分業化でプレハブ配管の安定した品質、コストの低減、合理的な納期の確保が可能。また、現場配管取付けに際しての効率的な提案営業ができるのも強みとなる。

 当面はプレハブ配管で業務をスタートさせるが、将来的には東亜工業の主力である工事業のライセンス取得も目指す。「現地でタイアップ企業を探し、工事、プレハブ、メンテナンスのトータルサプライヤーを目指す」(福本社長)。業容の拡大状況によっては、ジャワ島の中央、西部での生産拠点展開も検討。また、インドネシアの若い人材を東亜工業に派遣し、メンテナンスや配管工事、工事施工管理などを体験させるなど人材育成にも注力していく。

 今後は、営業スタッフの補充も課題。インドネシア全体の需要を捕捉するため、将来的に首都のジャカルタに人を駐在させる構想も描いている。(後藤 隆博)

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