あなたは「お金持ち」になれる脳?

お金持ちになれる脳になるためには、脳が健康かどうかが重要。日本人の4人に1人は陥るという「抑うつ状態」。あなたはどれだけ危険?

アナタの「お金持ち脳」度をチェックしましょう

お金を稼ぐ人とそうでない人はどこが一番違うのでしょうか? お金を稼いでいる人は、まず例外なく積極的で前向きな性格です。逆に抑うつ傾向のある人物は前向きになれず、お金を稼いだり増やしたりすることが苦手な人が多い傾向があります。医師の吉田たかよしさんに、お金持ちになれる脳についてインタビューします!


10のチェックであなたの「抑うつ度」がわかる!

バイアスや抑圧がなく、脳が健全に働いているだけで、十分お金を稼ぐことが可能です。そこで皆さんの脳の状態が健康かどうか? 簡単なチェックをしてみましょう。

次の10の問いに、自分が当てはまるものをチェックして下さい。

1.最近、寝る時間がバラバラである 

2.最近、食欲がなくなった

3.着る服の色は黒や白、寒色系が多い

4.急激に痩せるか、逆に急激に太った

5.以前に比べて買い物をすることが少なくなった

6.整理整頓が急に面倒になった

7.休みの日に、外に出ずに家にいることが多い

8.朝の目覚めが最近とくによくない

9.会社や家庭などの人間関係でストレスが多い

10.イライラして我慢できなくなることが増えた

さて、あなたはいくつ当てはまるでしょう? 7つ以上当てはまる人は要注意です。すでに抑うつ状態か、あるいはそうなりやすい状態だと言えます。3つ以下なら、それほど恐れる必要はないでしょう。

ちなみに抑うつ状態になると、気分が落ち込んでやる気や意欲が出なくなりますが、同時に、不眠や頭痛などの身体的な不調が現れることも少なくありません。日本人の4人に1人が、何らかの形で一度は陥ると言われています。

抑うつ状態がひどくなり、精神的にも肉体的にも強い症状が出て、それが長引くようになると「うつ病」とされます。いずれにしても気分の落ち込みで脳全体の機能が低下し、お金に関する脳の機能も落ちる。

米国の研究で抑うつ状態の人はそうでない人と比べて、明らかにお金を儲ける人が少ないというデータがあります。意欲がなくなり、物事を悲観的に考えてしまうので、当然お金を稼ぐ行動をとることができなくなるのです。

男性ホルモン「テストステロン」がカギを握っている

じつはこの抑うつ状態というのは、男性ホルモンであるテストステロンとも関係があります。最近話題になる男性の更年期障害(LOH症候群)は、このテストステロンが減少することで様々な症状が起きるものですが、その1つに意欲の減退、すなわち抑うつ傾向があります。

テストステロンは欲望を強く掻き立て、欲望や目標に向かって突き進む男性的な行動力を生みだす原動力になります。ですからこのホルモンが少なくなると、意欲がなくなり、闘争心や欲望を実現したい気持ちが弱くなってしまうのです。

更年期障害で抑うつ症状に至った男性はもちろんですが、ストレスや不規則な生活などで心身のバランスを崩し、そのため脳の健全な機能が低下してしまう。それによってテストステロンの分泌が抑制されて、抑うつ状態に陥る。

すると、ますます行動がおっくうになり、テストステロンがさらに出にくくなるという悪循環に陥ります。当然、これまでのように仕事などで頑張ることができませんから、お金を稼ぐことも増やすこともできなくなるのです。

投資で勝負ができる男性、貯蓄が上手な女性

ちなみにテストステロンが男性ホルモンだからといって、女性は関係ないと思ったら大間違い。確かに男性よりは少ないのですが、女性もテストステロンは分泌されています。女性でもテストステロンが多い人は男性的な性格や行動になります。逆も真なりで、男性でも女性ホルモンは分泌されています。

このテストステロンは投資行動にも影響するんですね。ある研究データによれば、デイトレーダーでもテストステロンの分泌量が多い日の取引では、成果を上げている日が多く、少ない時は成果が悪かったそうです。

これはテストステロンによって欲望を実現したい気持ちが強くなり、ここぞという時に勝負に出る決断力と判断力が高まったと考えられます。投資でお金を一気に稼ぐ場合、当然リスクを取らなければならない。その時にテストステロンが多いと勝負に出やすくなるわけです。

ですから、投資でもハイリスクで一気に大きな成果を狙うという行動にかけては、やはり男性のほうが向いているといえそうです。女性は子どもを生み、育てるという役割が強いですから、比較的リスクを避け、安全確実に増やそうとする。ですから投資よりは貯蓄に向いているというのは、脳科学的にも言えるでしょう。


教えてくれたのは……

吉田たかよしさん

1964年生まれ。灘中学、灘高校を経て東京大学工学部(量子化学専攻)を卒業。東京大学大学院(分子細胞生物学専攻)を修了。東京大学新聞研究所(現・大学院情報学環)を修了。この間に東大経済学部ゼミを修了し、国家公務員I種・経済職試験を上位合格。NHKアナウンサーを経て北里大学医学部へ、医師免許を取得。加藤紘一元自民党幹事長の公設第一秘書として科学技術政策の立案に取り組む。東京理科大学客員教授、神戸大学学術研究員。

現在は本郷赤門前クリニック院長として、受験生専門の心療内科クリニックを運営。新宿メンタルクリニック顧問として「受験うつ」に対する磁気刺激治療にも取り組む。著書に『最強の勉強法』(PHP出版)、『仕事脳─成功する人の脳の使い方』(講談社)など多数。受験うつ予防ナビhttp://utu-yobo.com/で脳機能を高める勉強法を公開中

取材・文/本間大樹

(文:あるじゃん 編集部)

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