9番→2番、三塁→一塁、侍J社会人・北村が躍動、変更に柔軟対応で光る存在感

侍ジャパン社会人代表が出場している「第28回 BFA アジア選手権」(台湾)は7日、スーパーラウンドのセミファナル2戦目が行われ、日本はチャイニーズ・タイペイに10-0の8回コールド勝ちを収めた。この日は打線をシャッフル。これまで9番を打ってきた北村祥治内野手(トヨタ自動車)が今大会初の2番に入り、勝利に貢献した。

侍ジャパン社会人代表・北村祥治【写真:Getty Images】

セミファイナル2戦目で今大会初の2番、指揮官「つなぎの役割を求めている」

 侍ジャパン社会人代表が出場している「第28回 BFA アジア選手権」(台湾)は7日、スーパーラウンドのセミファナル2戦目が行われ、日本はチャイニーズ・タイペイに10-0の8回コールド勝ちを収めた。この日は打線をシャッフル。これまで9番を打ってきた北村祥治内野手(トヨタ自動車)が今大会初の2番に入り、勝利に貢献した。

侍ジャパン社会人代表が2大会ぶり優勝へ、いざ決戦 石井監督「緊迫したものになる」(侍ジャパン応援特設サイトへ)

 日本は初回、1番・田中俊太内野手(日立製作所)が初球をレフト前に弾き返して出塁。早々に打順を迎えた北村は、カウント3-1から四球を選んだ。3番・藤岡裕大内野手(トヨタ自動車)の遊ゴロで二塁封殺となったが、石井章夫監督は積極的な打撃で出塁した田中を称えると同時に「特に2番の北村もつないで、あそこが大きかった」と高評価。四球で相手投手にプレッシャーを与えた働きを、攻撃のポイントに挙げた。その後、1死満塁で菅野剛士外野手(日立製作所)が走者一掃の三塁打で先制し、日本は主導権を握った。

 2回の第2打席には1死から中安を放って出塁し、菅野の中前適時打でホームインした。8-0の3回は2死一塁で第3打席に立ち、カウント1-1から左中間を破る適時打。北村は「(田中が)四球を選んでくれたから僕のヒットにつながった。点差は開いていたが、ああいう四球1つが短期決戦では鍵になってくる。守る側としては四球を出さず、こういう野球を明日もできれば」と、勝利の後で気持ちを引き締めた。

 石井監督は、打順を変えた理由について「北村にはつなぎの役割を求めている。9番も十分つなぎだけど、野球を知っていて、バントだけでなくエンドランもできる。キーマンになる」と語った。ミーティングで打順を告げられた北村は「2番でも9番でも僕の役割は変わらないと思う。ただ、2番は早い段階で打席が回ってくるので、気持ちと体の準備だけは遅れないように意識した」という。

借りたファーストミットで急遽一塁スタメン「どこで行けと言われても…」

 変わったのは打順だけではない。「今日はファーストでスタメンだったので、正直…」。球場に到着してから告げられたポジションは、これまでの三塁ではなく一塁だった。大城卓三捕手(NTT西日本)からファーストミットを借り、試合前練習から一塁守備を入念に確認。「今日はバッティングよりも守り。ファーストミットに慣れようと思った」と、意識は守備に集中していた。打球こそ飛んでこなかったが、2回にはショート・藤岡の高く逸れた送球を、左腕を目一杯伸ばして捕球。「ミットが思ったより長くて届いてくれた」と笑った。

「代表チームに入ったら、こういうこともある。そういうところに対応しないといけない。どこで行けと言われても行かないといけない。そういう意味でも、いい働きができたのではないかと思います」

 普段、守り慣れていないポジションに入ることも覚悟の上だった。大学時代は遊撃を務め、内野はどこでも堅実に守り、捕手もこなす器用さを持つ。亜細亜大では主将を務め、プロから注目を集めたが、惜しくも指名漏れ。トヨタ自動車に入り、社会人でそのスキルに磨きを掛けながら、チーム優先のプレースタイルは変わらずに続けている。

 決勝も7日に続きチャイニーズ・タイペイと戦う。「いい緊張感を持って戦えると思う。2番だろうが9番だろうが、役割は変わらないのでできることしっかりやりたい。1点1点の積み重ねが大量得点になる。つないで、つないでいければいいなと思います」。

 さぁ、目指してきたアジア王者へ、あと1つだ。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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