江夏、鈴木、野茂…楽天則本が4季連続奪三振王当確で見えた偉人達の背中

楽天の則本昂大は10月8日のソフトバンク戦に先発し、6回を投げて8三振を奪った。これで今季奪三振数は222となり、この試合の前まで3差で追っていた西武の菊池雄星を抜き、4年連続の奪三振王を確実にした。

楽天・則本昂大【写真:荒川祐史】

6年連続奪三振王の江夏、鈴木は左腕、右腕では野茂と並び史上最多

 楽天の則本昂大は10月8日のソフトバンク戦に先発し、6回を投げて8三振を奪った。これで今季奪三振数は222となり、この試合の前まで3差で追っていた西武の菊池雄星を抜き、4年連続の奪三振王を確実にした。

 最多奪三振がNPBのタイトルになったのは、パ・リーグは1989年、セ・リーグは1991年からだ。それまで奪三振数が表彰されることはなかった。

 タイトルになる以前の記録を含めても、4年以上の連続奪三振王は、NPB史上3例しかない。

○6年連続奪三振王
江夏豊(阪神)1967年~1972年
鈴木啓示(近鉄)1967年~1972年
○4年連続奪三振王
野茂英雄(近鉄)1990年~1993年

 6年連続奪三振王の江夏と鈴木は、同じ兵庫県出身で1歳違い。リーグは違ったがライバル心が強く、ピッタリ同じ時期に奪三振王を取り続けた。なお、2人はいずれも左投手。則本は野茂英雄と並ぶ右投手最多の4年連続だが、来年奪三振のタイトルを獲れば、右投手で単独最多となる。

 フォークやスプリットなど落ちる変化球を投げる投手が増えたことから、NPBの奪三振率は上昇している。1950年代、9イニング当たりの平均奪三振数は4.5前後だったが、80年代には5前後となり、現在は6.5を超えている。

 しかし、投手の投球回数は少なくなっている。50年代は300イニングを超すことも珍しくなかったが、現在ではトップクラスの投手で200イニング程度だ。このため奪三振数は減少している。現在は、奪三振王でも200に届かないことも珍しくない。そんな中で、則本は4度の奪三振王をすべて200奪三振以上で記録した。

4年以上連続して200奪三振を記録したのは史上9人

 NPB史上、4年以上連続で200奪三振を記録したのは、以下の9人だ。

○14年連続
 金田正一(国鉄)1951年~1964年
○7年連続
 小山正明(阪神)1956年~1962年
 江夏豊(阪神)1967年~1973年
○5年連続
 鈴木啓示(近鉄)1967年~1971年
○4年連続
 梶本隆夫(阪急)1954年~1957年
 秋山登(大洋)1956年~1960年
 米田哲也(阪急)1957年~1960年
 野茂英雄(近鉄)1990年~1993年
 則本昂大(楽天)2014年~2017年

 史上最多400勝を挙げた金田正一の14年連続はまさに空前絶後だが、9人のうち、野茂英雄と則本を除く7人はいずれも40年以上前の投手。今世紀に入ってからは、則本以外には誰も達成していない。

 1度や2度は200奪三振を記録する投手は、現代にもいるが、これを4年も続けるのは至難の業だ。則本は三振を奪う能力だけでなく、スタミナも抜群だと言える。

 則本は、今季、野茂英雄の6試合連続を更新し、NPB最高となる8試合連続2桁奪三振も記録している。まだ5年目だが歴史的な投手に肩を並べようとしていると言っていいだろう。

 ポストシーズンでの活躍に期待がかかるが、来季の則本にも注目だ。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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