事務所開設ぎりぎり、運動会でも駆け回り…怒涛の衆院選、候補者慌ただしく

 あす10日に迫った衆院選の公示を前に、県内の出馬予定者が街頭へ走り出している。三連休の中日となった8日は、各地のイベントや駅前など人出の多い場所を選び、自らの思いをアピール。一方、新党からの出馬が急きょ決まり、事務所の開設作業に追われた陣営も。準備期間の短い突発選挙への態勢固めは、十人十色の様相だ。

 8日朝、相模原市内の小学校。開会式に並ぶ子どもたちに向かって14区の自民公認、赤間二郎氏があいさつした。「おはようございます。転んで泣かない元気な子、手を挙げて」 来賓として招かれた娘の運動会。7日未明の雨で順延となっていたが、朝から晴天となった8日は、もともと予定されていた地域の運動会とも重なり、“運動会巡り”は10カ所以上に。

 「本来は三連休で分散していたんだけど。しかも午前8時半や9時のスタートばかり。大忙しだね」 とはいえ、子や孫の晴れ姿を楽しみに訪れる保護者に「選挙関連の話なんてできない」のが実情。「長々あいさつしたって、誰も聞いてくれないだろうし」と、ワイシャツとネクタイ姿で親子向けのプログラムに参加していた。

 希望の公認を得て15区から出馬することになった乃木涼介氏は大阪出身。「本当は積極的に街頭に立ちたかったが、どうしても時間がなかった」。机やファクスなど選挙事務所で使う備品のリース業者の選定や届け出の準備に追われた。

 神奈川にはまだなじみがなく、4日に初めて選挙区に入り、茅ケ崎市内に構える事務所は7日に決まったばかり。

 今のところは大阪時代から一緒に活動してきた秘書と一部の県議の支援を得ているのみだが、「10日の公示日までに何とか準備を間に合わせようと、必死に取り組んでいる」。

 希望の中には、8日になってようやく事務所を開設できた候補予定者もおり、各陣営は本番に向け、態勢づくりを急ピッチで進めている。

 もう一つの新党、立憲民主と共産、社民の3党は、市民団体「市民連合横浜」が主催した横浜駅西口での街頭演説に参加。予定者10人が3党の共闘をアピールした。

 10区から出馬する共産の畑野君枝氏は「3党が候補をまとめて一つでも多く勝ち抜き、自公政権と改憲勢力を3分の2以下に追い込みたい」と訴え、民進の分裂で立民となった1区の篠原豪氏は「一部の人だけでものを決め、下に従わせる政治を止めなければいけない」と強調した。

 市民連合横浜と3党の間で、選挙協力の合意書が交わされたことも紹介されたが、候補者の一本化が実現していない2区からは、立民と共産の予定者がそれぞれ参加。市民連合の関係者は「政党同士の話なので難しいようだ」と漏らした。

 一方、川崎市内の選挙区では8日から、衆院選立候補予定者の政治活動が制限されることになった。市長選が告示されたためで、公職選挙法の規定により、衆院選公示前日の9日までは市内での街頭演説や演説会などができない。候補予定者は地域の祭りに足を運んだりはしているが、打ち合わせや事務作業などに費やすという。

© 株式会社神奈川新聞社