「ARCツアー」を手がける第1種旅行業者の

 「ARCツアー」のブランド名でツアー旅行などを手がける(株)アバンティリゾートクラブ(TSR企業コード:293361851、法人番号:2011101025164、新宿区新宿2-13-10、設立平成9年10月2日、資本金7200万円、臼井良司社長)は10月11日、事業を停止した。本社入り口には「資金繰り・業績の悪化に伴いこれ以上の業務継続が困難な状況となり、営業停止せざるを得ない事態となりました」との張り紙を掲示している。
 11日の夜からアバンティリゾートクラブの本社には、取引先や旅行申込者が状況確認のため、続々と訪れている。11月出発の台湾ツアーを申し込み手付金約100万円を支払ったという団体の担当者は、「電話が繋がらないので確認に来た。対応に困っている」と話した。
 負債は現在調査中。

 本社のほか、仙台市にも営業所を設置し、国内外のパッケージツアー、団体旅行を幅広く取扱う中堅の第1種旅行業者。一般顧客や法人を対象に、海外旅行ではハワイ、アメリカ本土のほか、東南アジア向けツアーなどを得意とし、年間売上高は約18億円で推移していた。
 しかし、オンラインを通じたLCCや海外ホテルなどのセルフブッキングスタイルが浸透するなど、顧客の旅行予約も多様化し経営環境が悪化。最近は韓国や国内旅行を中心にしていたが、業績不振に歯止めが掛からず決済に支障をきたし、今回の措置となった。
 10月11日夜には、同社関係者が「社長とは10日から連絡が取れない。資金繰り悪化で主要先に支払いが止まっているが、事業は続けていきたい。現段階ではツアー客に支障は生じていない」と話していた。
 10月12日午前、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)は東京商工リサーチの取材に、「アバンティリゾートクラブの弁済業務保証金限度額は7000万円。アバンティリゾートクラブから事前に連絡がなく困惑している」とコメントしている。また、本社を訪れた海外の旅行代理店担当者は「これまでの支払いに滞りはなかった。ただ、10月出発分の2本のツアー(合計130名程度)があり、対応を検討している」と困惑していた。
 観光庁観光産業課の担当者は、「先ほど(12日午前)、事態を把握した。旅行者数などの把握は出来ていない。対応については検討中である」とコメントした。

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