山崎武司氏が分析 「岸様々」で五分に戻した楽天が「5.5対4.5」で有利に

パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージ第2戦は楽天が西武に4-1で勝利し、1勝1敗のタイとした。先発の岸がかつての本拠地で古巣相手に6回1/3を3安打8奪三振無四球で無失点と快投。エース則本が先発した初戦を0-10とまさかの大敗で落としたチームを救った。

2009年に楽天を初のCS出場に導いた山崎武司氏【写真:岩本健吾】

第1戦で大敗の楽天を救う快投、岸は「俺が見た中で一番良かった」

 パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージ第2戦は楽天が西武に4-1で勝利し、1勝1敗のタイとした。先発の岸がかつての本拠地で古巣相手に6回1/3を3安打8奪三振無四球で無失点と快投。エース則本が先発した初戦を0-10とまさかの大敗で落としたチームを救った。

 打線も初回に茂木の先頭打者弾、2回には枡田の適時打と嶋のスクイズと序盤に3点を奪取。終盤の7回に茂木の適時内野安打で1点を追加し、快勝した。

 中日、オリックス、楽天で通算403本塁打を放ち、2009年には楽天を初のCS出場に導いた野球解説者の山崎武司氏は、「岸も責任を感じてたであろう先発登板だったんだけど、俺が見た中で一番良かったんじゃないかな。真っ直ぐは抜群に走ってたし、カーブも良かった。要所でのコントロールも抜群だったから、3点のリードは十分すぎるくらいだった。岸で逃げ切れるパターンだったけどね。結局、継投にはなったけど、この試合は岸様々じゃないかな」と絶賛した。

 完封すら期待された岸は、7回1死から山川に中前打を許したところで降板。これが、この試合まだ3安打目だったが、梨田監督は積極的に動いた。山崎氏は、これが第3戦にもつながる継投になったと指摘する。

「一人一殺という感じで、高梨もいい仕事をした。いつもの勝ちパターンの出し方だよね。それを普段通りしたというだけのこと。岸に関してはまだ引っ張って投げさせられることもできたと思うけど、『いつもの勝ちパターンで』ということであの形になったんじゃないかな。元々、俺は順調に行けば8回まで岸は行くんじゃないかなという気はしていた。最後はやっぱり松井裕樹に投げさせるとは初めから思ってたけどね。でも、これで(第3戦に向けて)いい流れになったんじゃないかなと思うね」

 福山が8回に1点を失ったものの、9回は松井裕がピンチを招きながら無失点に抑えて快勝。勝ちパターンの救援陣もCSのマウンドを経験したことで、第3戦でも梨田監督は躊躇なく投入できるはずだ。

先発投手の立ち上がりが鍵も、「気分的に楽なのは絶対に楽天」

 一方の西武は、前日に則本を打ち崩した打線が沈黙。だが、この試合では岸が上回っただけだと山崎氏は分析する。先発・十亀も立ち上がりが良くなかっただけで、内容自体は悪くなかったと指摘。梨田監督の采配も光ったという。

「簡単に言ったら、いいピッチャーは打てないわけよ。いいピッチャーなら、打線はなかなか打てない。逆に、ミスが多くなってしまうと、打たれてしまう。これがプロだから。とは言うものの、この試合に関しては十亀も悪くなかったからね。3回目以降はバチバチに来てたから。楽天は左バッターが十亀を攻略できたのが大きかった。茂木もしかり、(枡田)慎太郎もしかり。嶋のスクイズはあったものの、左バッターがああいう横投げのピッチャーを攻略したっていうのは、梨田監督からしてみれば、してやったりだっただろうね。だから、この試合は監督の采配が冴えたゲームでもあったかな」

 第1戦終了後、山崎氏は第2戦のキーマンとして岸を指名した。そして、まさに岸の快投が楽天に勝利を呼び込む形となった。では、全てがかかる第3戦は誰が鍵を握るのか。やはり、両チームの先発投手の出来が最も需要になるという。

「第3戦もピッチャーは大変だわね。美馬と野上。結局、最後の試合までいってしまったけど、これで上に行けるか行けないかの1試合勝負になったから、非常に立ち上がりが大事だよね。第2戦は岸が立ち上がりが良かったから、楽天がそのまま逃げ切った。西武は十亀の立ち上がりが悪かったから負けてしまった。本当に明暗くっきりだった。第3戦は両投手がド緊張の中で立ち上がりを迎えないといけないわけだから。

 打線では、西武はちょっと秋山のバッティングの状態が良くない。第1戦もヒット1本打ってるけど、秋山らしくないバッティングをしていたから、ちょっと気になるね。秋山の復調が待たれる。一方の楽天はウィーラーの調子が悪いよね。ポイントはそういうところかな。第3戦に関しては、まずはミスをしてしまったら負けだと思う。第1戦も投手戦になると思いきや、ワンサイドゲームになっているから」

 超短期決戦の3試合勝負。選手の精神状態も、1つ1つの結果で揺れ動く。第1戦で大勝し、圧倒的優位に立ったかと思われた西武だが、“逆王手”をかけられる形となった。第3戦へ向けて、いったいどっちが有利となったのか。

「(3試合勝負だと)気持ちの問題でコロコロ変わってしまうからね。選手は大変。気分的に楽なのは絶対に楽天だと思う。そのあたりは少しアドバンテージがあるから、第2戦で勝ったことで、楽天のほうが有利かなという気がしないでもないかな。五分だけど、気持ちの分で楽天の『5.5対4.5』かなと。そのくらいになっちゃうね。本当に僅差。ちょびっとだけ楽天かな。だから『5.5対4.5』という気はする」

 大注目の第3戦。どちらが勝利を引き寄せるのか。立ち上がりから目が離せない試合となる。(Full-Count編集部)

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