鷹には不要? 去就注目ゲレーロの来季を独自予想 フィットする球団は?

今オフのストーブリーグで、行き先が注目されるであろう1人が、中日退団が濃厚と言われているアレックス・ゲレーロ内野手である。

中日のアレックス・ゲレーロ【写真:荒川祐史】

残留か新天地か― 去就注目ゲレーロはいずこへ

 ペナントレースが終了し、上位チームによるクライマックスシリーズ、そして日本一を決める日本シリーズを残すのみとなっている今季のプロ野球。Bクラスに終わった6球団は既に来季への準備をスタートさせている。

 その中で、今オフのストーブリーグで、行き先が注目されるであろう1人が、中日退団が濃厚と言われているアレックス・ゲレーロ内野手である。

 一部では、資金力のあるソフトバンクが獲得に向けた調査を行っているとの報道もあったが、果たして、今季、パ・リーグを圧倒的な強さで制したソフトバンクに、ゲレーロが必要なのか?

 はっきり言って、不要であろう。ゲレーロは今季、主に三塁と左翼で出場しているが、ソフトバンクには三塁に松田宣浩、左翼には中村晃という生え抜きの主力がいる。34歳となった松田の後継者育成は急務となっているものの、それも緊急を要するものではなく、2、3年のうちに育てたいところ。一塁にも内川聖一が、指名打者にはデスパイネがいる。唯一定まっていないポジションは二塁手。正直なところ、ゲレーロを獲ったところで起用するところがない。

 しかも、外国人枠の問題もある。ソフトバンクには、投手でリック・バンデンハーク、デニス・サファテ、リバン・モイネロ、野手でアルフレド・デスパイネが1軍におり、さらに右肘のトミー・ジョン手術でリハビリ中のロベルト・スアレスも来季中には復帰出来る見通しだ。今季加入したカイル・ジェンセンの去就は不透明だが、1軍でプレー出来る4枠は埋まっている。

 ここにゲレーロを加えたところで、使い道に困るだけ。さらには、ここから伸びてくるであろう若手たちのチャンスを奪うリスクもある。補強だけでなく、選手育成により、圧倒的な強さを作り上げてきたソフトバンクだけに、ゲレーロ獲得はチームバランスを崩すリスクにもなりかねない。

 大物外国人の移籍が取り沙汰されると、必ずと言って名前が出てくるソフトバンクだが、それは12球団イチの資金力があるから。実際には、さして触手を伸ばしていなくとも、よりより条件を引き出したい代理人サイドに名前を使われていることも、ままある。現実的に考えれば、ソフトバンクが本格的に獲得に乗り出す可能性は低いのではないだろうか。

ゲレーロにマッチする可能性がある球団は…

 では、ゲレーロにマッチする球団はどこになるだろうか。

 ゲレーロ獲得に向けて最大のネックとなるのが、高額な年俸だ。ゲレーロサイドの要求は500万ドルとも言われている。日本円にして5億円を超えるだけに、これをポンと払える球団は多くない。それも踏まえた上で、ゲレーロが補強ポイントとして合致する球団は巨人、阪神、オリックス、楽天といったところではないだろうか。

〇巨人

 今季、中盤以降に三塁を守った村田修一が戦力外となった巨人。マギーも三塁が本職ながら、中盤以降は二塁を守っていた。村田放出は、世代交代を進めるためとしているが、岡本が伸び悩み、村田に代わる三塁手が育っていない現状にある。また、外野も右翼には長野、中堅には陽岱鋼がいるが、左翼は亀井、石川、中井、重信らが守っており、固まっていない。一塁の阿部も全143試合に出場するのは厳しくなっており、守備位置のバランスを考えても、ゲレーロはうってつけの存在ではないだろうか。ナゴヤドームよりも本塁打の出やすい東京ドームが本拠地となれば、さらなる本塁打量産も期待できる。外国人投手がマシソン、マイコラス、カミネロと主力に3人がおり、枠の問題はあるが、マイコラスにはメジャー移籍の可能性も浮上している。年俸の捻出も巨人であればなんら問題はないだろう。

〇阪神

 今季加入した助っ人のキャンベル、ロジャースともに期待外れに終わった。今季、三塁は134試合に出場した36歳の鳥谷がおり、チームトップの打率.293をマークした。外野はキャプテン・福留、そして糸井が中心。急成長を遂げた中谷や俊介といった面々もおり、一塁にはルーキー大山がいるが、貧打にあえいだチーム事情を考えれば、35本塁打のゲレーロ獲得の余地は十分にありそうだ。ゲレーロを一塁に置くか、中谷を一塁に回してゲレーロ、福留、糸井で外野を組む(いささか守備への不安が残るが……)といった策も考えられる。リーグ優勝を掴むためには、打線強化は必須といえる。日本での実績を残しているだけに、外れるリスクも少なく、うってつけではないだろうか。

パ球団はDHでの起用も魅力

〇オリックス

 今季、三塁は小谷野が最多の100試合を守り、左翼はT-岡田の114試合が最多。どちらもチームに欠かすことが出来ないが、パ・リーグだけに指名打者という選択肢もある。来季の残留が決まっている外野のロメロ、一塁のマレーロとともに、守備位置をやり繰りすれば、ゲレーロを獲得しても、起用は可能ではないか。ロメロ、マレーロ、ゲレーロと似たような名前の助っ人トリオで主軸を組めれば、とてつもない破壊力となりそう。ロメロ、マレーロに加え、ディクソンも残留が決定しているが、ヘルメンは退団が濃厚となっており、外国人枠から見ても、野手3人、投手1人で編成は可能だ。

〇楽天

 今季はペゲーロ、ウィーラー、アマダーの3人に加え、シーズン途中にはクルーズが加入して外国人野手が4人となった。投手はハーマン、宋家豪、コラレスが在籍している。クライマックスシリーズを戦っているため、外国人選手の去就についてはまだ明らかになっていないが、外国人選手の入れ替えを考慮する余地は十分にある。今季23本塁打を放ったアマダーだが、打率.237と大味な印象は拭えず、クライマックスシリーズのメンバーからも外れている。三塁にはウィーラーがいるが、外野に絶対的なレギュラーはおらず、DHもある。高額な年俸はネックだが、2013年にマギーとジョーンズの獲得に推定4億円超を投じたこともあるだけに、大型補強を敢行してもおかしくはないだろう。

 両リーグで最下位に終わったヤクルトやロッテを始めとして、この他の球団でもゲレーロを欲しい球団はあるだろうが、マネーゲームとなれば、獲得できる球団は限られてくる。中日残留かそれとも他球団との契約か――。ゲレーロは来季、どこのユニホームを着ているだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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