NEDO・デンソーなどFeNi磁石材料合成に成功 レアアースフリー磁石実用化前進

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は18日、デンソーを主体とする東北大学、筑波大学の産学連携グループがNEDOプロジェクトにおいて、鉄とニッケルが原子レベルで規則配列したFeNi超格子磁石材料の高純度合成に世界で初めて成功したと発表した。ガスとの反応を用いたシンプルなプロセスで工業的な生産に適していることに加え、磁石材料に求められる単一相で粉末形状のFeNi超格子を得ることができる。高性能レアアースフリー磁石の実用化を大きく前進させると期待されており、今後はモーター用永久磁石への提供を目指し、高い性能を引き出す材料形状や成形法の検討を進める。

 同研究グループは、規則化した安定中間物を経由した規則合金形成プロセス「NITE法」を新たに考案した。同プロセスでは、原料であるFeNiランダム合金の粉末を窒化することで、規則化したFeNi窒化物を合成し、その後に規則構造を壊さずに窒素原子を引き抜き、短時間で高い規則度のFeNi超格子を得ることができる。

 鉄とニッケルが原子レベルで規則配列したFeNi超格子は、1960年代に鉄隕石中から発見され、レアアースフリーでありながら高い磁石性能があると予測されている。

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