王者ソフトB、深刻なタイムリー欠乏症で連敗 工藤監督「つなぐことが大事」

“あと一本”が打てないタイムリー欠乏症に、工藤公康監督は「つなぐということが大事」と打線に奮起を促した。

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

連敗で1勝2敗に、7回途中自責1の千賀には「思いは伝わってきた」

 19日、ソフトバンクはクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第2戦も1-2で楽天に敗れ、優勝アドバンテージを含めて1勝2敗となった。先発の千賀滉大は粘りの投球を見せたが、得点は内川聖一の連日のソロ弾による1点のみ。何度も好機を作りながらも“あと一本”が打てないタイムリー欠乏症に、工藤公康監督は「つなぐということが大事」と打線に奮起を促した。

 予想もしない先制点だった。1死一塁から、銀次のライト前ヒットが川島慶三の前で大きく弾み、ボールが飛び越えて転々とする間に1点を奪われた。得点の記録は川島のタイムリーエラー。左腕に対する打線を組むに当たって外野が本職ではない川島をあえてライトで起用したことがいきなり裏目に出た。工藤監督の言葉も歯切れが悪い。

「(楽天の)コーチが立っているから見えなかったんですけど。ただのライト前ヒットかなと思ったら『ワッ』と聞こえたので…。バウンドが変わったという話は聞きました。あのくらいの当たりなので、何とか三塁に行かせないようにと思って前に来たというのはありますけどね…」

 それでも先発の千賀は粘りの投球を見せて6回1/3を2失点(自責点1)と試合を作った。「気持ちも入っていたし、何とか粘ってという思いは伝わってきた。よかったと思いますよ」と工藤監督。最後は嶋基宏に勝ち越し打を許したが「あそこでしっかりタイムリーを打てるというのは打った本人を褒めるしかないでしょうし、こっちも全力プレーでぶつかっていったうえで打たれたわけなので」と相手の執念を持ち上げた。

打てない打線は奮起するのか「相手も何とかしたいという思いは一緒」

 それにしても打てない。3回は1死二塁から2死二、三塁、6回は無死二塁から2死一、二塁、7回は1死二塁、8回は2死一、三塁と何度も好機を作りながら、得点は内川の本塁打による1点だけ。6安打で8残塁を数えた。

「チャンスは作ってそこで一本が出ればというのは常にあるんですけど、相手も何とかしたいという思いは一緒なので打たせてはくれない。つなげるところはつないで、ランナーを進めるところは進めて。もう一回みんなでしっかりとそういう意識を持って、また明日戦っていきたいと思います。つないでいくことはすごく大事。今は今宮くんと内川くんがいい状態なので、そこにどうやってつないでいくかだと思います」

 塩見貴洋、辛島航という2人の左腕に封じられ2試合を落としたが、星取りはアドバンテージを入れて1勝2敗。第3戦に勝てば五分に戻すことはできる。そうはさせじと立ちはだかるのは鷲のエース・則本昂大だ。

「もう後がない」となるのか「さあ、ここから」となるのか。指揮官は最後に自らを奮い立たせるような声で「はい、切り替えて明日頑張りましょう!」と叫んで監督室へと戻っていった。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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