トヨタなど自動車3社、神鋼のアルミ板、安全性を確認 他の製品も確認急ぐ

 神戸製鋼所の品質データ改ざん問題でトヨタ自動車、ホンダ、マツダの自動車大手3社は19日、問題のあった製品のうち、自動車のボンネットなどに使うアルミ板の安全性を確認したと公表した。各社はアルミ板以外の製品について確認作業中で、車両への影響が判明した時点で公表するとしている。神鋼は問題のあったアルミ・銅製品について、国内外約500社のユーザーに安全性確認への協力を要請中。自動車大手が一部部材について安全性確認を公表したのは初めて。

 トヨタでは神鋼がデータ偽装したアルミ板を自動車のボンネットやバックドアに採用していた。神鋼から偽装していない元データ(3年分)を取り寄せ、強度や耐久性を調査。トヨタの規格から最も外れた品質数値をベースに検証したところ、それらの材料でも車両の安全性、耐久性に関する関連法規や自社基準を満たしていることを確認した。

 ホンダとマツダは神鋼から直接購入したアルミ材について、使用段階で自社安全基準を満たしていることを確認したほか「間接納入分については現在調査中」(各社広報)と説明。三菱自動車も「一部のアルミ材は安全確認が取れた」としたほか、日産自動車とスバルは「現在確認中」としている。

 トヨタはアルミ板のほか、バンパーなどに使用するアルミ押出材をはじめ銅管、銅製品、鋼線、鉄粉、ターゲット材などで不適切製品の納入を確認しているが、「これらについては現在確認中。今後も確認が済んだものについてはその都度公表していく予定」(トヨタ広報)と説明。

 また納入済みの不適切なアルミ板の交換要請などの見通しについては「現時点で採用した車種や部位の特定が済んでいないので分からない」(同)としている。

 同問題をめぐっては、国内ではすでに製缶メーカーが安全性の確認を公表しているが自動車メーカーにもその動きが広がった格好。自動車での安全性については消費者なども高い関心を示している。一方、足元ではGMやフォードといった海外自動車メーカーが品質調査を進めているほか、欧州航空安全機関(EASA)が航空機メーカーに対し、安全性が確認されるまで神鋼製のアルミ・銅を用いた部品の使用を控えるよう勧告したことも明らかになっている。

 神鋼のアルミ・銅製品は幅広い業種に供給されており、神鋼は引き続き各ユーザーに対して安全性確認への協力を求めていく。

 この問題では、経済産業省が神鋼に対し、ユーザーと協力して安全性の確認を急ぎ、その結果を12日から2週間程度で公表するよう指示。経産省は同指示と合わせ、ユーザー業界に対して、神鋼製品の安全性確認への協力を呼び掛けている。

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